
2005年11月2日
概要
米国政府と日本国政府は規制改革及び競争政策イニシアティブ(規制改革イニシアティブ)の下、市場開放と経済成長促進のため引き続き努力をしている。毎年日本は、日本と取り引きを行う米国企業のビジネス機会を拡げるとともに、消費者の選択肢を拡大し、価格の低下を促し、より革新的な製品やサービスの導入を促進するよう、規制環境を改善するための重要な措置を講じている。よって米国政府は、小泉総理大臣が2005年9月に国会における所信表明演説の中で「改革なくして成長なし」と、経済改革に対する継続的な意欲を再度明言したことを歓迎する。
この規制改革イニシアティブに関する米日両国首脳への第4回報告書には、電気通信、情報技術、知的財産権、エネルギー、医療機器・医薬品、金融サービス、農業、競争政策、透明性、司法制度改革、商法改正、ならびに流通などの重要な分野で日本が講じている措置が詳細に明記されている。
多くの分野において改革が進んでいることを87ページにおよぶ本報告書は示しているものの、規制障壁を削減し政府慣行を能率的にするためのさらなる努力が必要である。それにより、市場アクセスを改善し、消費者が恩恵を受けるだけでなく、日本がこの先数年間にわたり経済成長の道をたどるための支えとなるであろう。
規制改革イニシアティブは、ブッシュ大統領と小泉総理大臣により2001年6月に「成長のための日米経済パートナーシップ」の重要な要素として立ち上げられた。
背景:DSL(デジタル加入者回線) 、FTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)、VoIP(ボイス・オーバー・アイピー)そして第3世代携帯電話(3G)などの先進電気通信技術の利用拡大に示されるように、規制改革を促進する日本政府のこの分野における政策は、大きな成果を挙げ始めている。日本の電気通信市場では、過剰な規制と市場支配的な電気通信事業者の反競争的行為によって新しい製品およびサービスの導入が妨げられることが、かつてより少なくなりつつある。米国は、この分野における改革に継続してコミットする姿勢を、高い接続料やその他の固定通信および移動通信市場での障害の除去に精力的に取り組むことによって明確に示すよう、日本政府に求めた。さらに、米国は、透明性、免許要件の技術的中立性、そして規制の独立性におけるさらなる改善を、特にワイヤレスサービスにかかわる決定に関して求めていく。
進展:米国は、電気通信分野において、成長を促進し、競争を促すために日本政府が講じてきた重要な措置を歓迎する。これには、以下の措置が含まれる。
- 来年初頭、新たに携帯電話用として免許が付与される1.7GHzおよび2.0GHzの周波数帯の免許方針で新規参入事業者を優先的に取り扱っている事。(12年ぶりに新規事業者が日本でサービスを開始する事から、先進無線技術の供給業者にとっては重要な機会である。)
- 日本の移動体通信市場において競争が少ない状況を重大な問題と捉え、寡占市場が高い料金体系と低いネットワーク利用をもたらす事から消費者にとって有害であると認識した事。
- 支配的事業者(NTT)が競争事業者に課してきた固定通信網への接続料金のモデルを改定し、これまで卸売用アクセス料金をゆがめてきた固定費を段階的に除去するよう決定した事。
- 高コスト地域において電気通信サービスが補てんされるよう改定されたユニバーサルサービス基金制度が、WTO参照文書の原則である透明性と競争中立性を厳守する事を明確にした事。(すなわち、いかなるユニバーサルサービスプログラムも、このような補助金を現在独占的に受けているNTTと競合する事業者に対して、不利に働かないよう保証している。)
- 帯域非占有型の免許不要局(例:無線LAN機器)について電波利用料を徴収しないことを明確にした事。
- 新しいワイヤレスブロードバンド技術(例:WiMax)を奨励し、将来割り当てる周波数帯を透明性のある方法で検討している事。
- 道路工事規制の緩和を継続すると共に、電気通信事業用光ファイバー網の敷設にかかわる申請手続きを整備している事。
- 電気通信機器の輸出入の円滑化を促進するため、米国との相互承認協定の締結に向けて取り組んでいる事。
- 運輸および物流サービスにおいて実務業務を迅速化し、安全性を強化する革新的なICタグ(RFID)機器に対して実験免許を付与した事。
背景:IT活用と電子商取引の促進は、日本が2001年よりe-Japan戦略を展開する上で主要な優先事項とされてきた。日本のインターネットサービスは、現在、世界で最も高速で安価なもののひとつとなっている。日本の民間および公共部門におけるITとオンラインプロセスの活用は急激に増加し、日本の電子商取引市場は米国に続き世界第2位の規模となった。これらの変化は日本経済の競争力を高め、新規技術の開発を促進し、米国企業が市場に参入する機会を新たに与えてきた。しかしながら、規制における障害は、なお存在している。米国は、ITと電子商取引の活用をさらに促進する規制環境を醸成する努力を継続し、民間部門によるインプットとリーダーシップ、技術中立性、国際協力、そして自由かつ公正な競争を重視する政策を通して、これらの活力に満ちた分野の国際性を認識することを日本に求める。
進展:米国は、IT分野と電子商取引において前向きな政策を策定するために日本政府が継続して講じている重要な措置を歓迎する。これには、以下の措置が含まれる。
- アジアおよび世界中で知的財産権保護・執行を促進するために、米国政府との協力関係を強化する。
- デジタル技術利用の急速な拡大に伴う諸問題に対応するために著作権法を幅広く見直す。米国は、このことが法定損害賠償制度の設置と音声録音を含むすべての著作物の保護期間の延長につながるよう期待している。
- オンラインサービスを促進し、対面取引または書面取引の必要性を削減する規制環境を育成する。(2005年に施行されたe-文書法および段階的に導入される自動車登録手続きを含む。)
- 日本の新しい個人情報保護法の施行に際して透明性を確保するために、2005年3月に2度目の大規模な公開セミナーを開催すると共に、関係省庁が施行や是正措置に関する情報を公表するよう促した。
- 適切かつ統一的なネットワークセキュリティー政策を立案し、今後の中央政府の情報セキュリティー対策基準を透明な手法(すなわち、パブリックコメント手続き)で作成し、ネットワークセキュリティー対策が民間部門で自主的に採用されるよう奨励していく。
- 日本の情報システムの調達手続きの改革の促進を継続し、透明性を確保し、民間部門によるインプットを検討する機会を増やし、競争を促進するとともに外国企業や中小企業の情報システム調達への参加の機会を拡大する。
- 「裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律」(ADR法)の施行がオンライン上の紛争の解決を促進し、国境を越えて取引される電子商取引の性質に適合するよう確保すると同時に、国境を越える紛争あるいは電子商取引に関する紛争にかかわるADR手続きについて明らかになった障害を改善するための措置を取る。
- 国際的なスパム対策を推進する際に、送信者認証技術の開発を含む民間部門の重要な役割と自主的な取り組みを認識し、
- 特定技術を推進、強制または選好しないように努力する方法(技術的中立)で、IT 分野に関する法、規則、ガイドラインを実施し、その結果、民間部門による技術革新を奨励する。
背景:日本は、大規模なエネルギー市場改革遂行のさなかにある。この改革は、電力小売市場の自由化部門を26%から63%に、また天然ガス市場の自由化部門を40%から50%に拡大するものである。米国政府は、この進展と、市場競争への実質的な影響の評価を目的とし、このような改革の有効性を監視するために日本が取っている新たなステップを歓迎する。競争が促進されることにより、日本国内の経済成長が促進され、また日本の電力・ガス市場における米国企業によるエネルギー製品・サービスの生産・販売・取引の機会拡大に寄与するものである。自由化が進むにつれ、米国の発電機器の輸出機会もまた拡大するであろう。さらに、日本政府は、自由化プログラムを実施するための新・改定政省令等に関するパブリックコメントの機会を設けることにより、総合的な投資家の信頼を向上させる重要な措置を講じている。
進展:日本政府は、2003年に国会で成立したエネルギー分野の改革を目指す法律の実施に向けて、引き続き次のような前向きな措置を講じてきた。
電力分野における信頼性と透明性の向上に向けた措置:
- 送配電分野に関する公正かつ非差別的規則の創設を目的に設立された中立機関(NSO)の指定および監督を行っている。
- 託送サービスのためのバランシング規則を緩和することにより、新規参入者に30分毎の需要家の需要データへのアクセスを可能にする。
- 近い将来省令を改正し、送配電部門の会計と他の部門の会計との分離を効果的に導入する。
- 託送料金のパンケーキ方式を廃止し、単一の託送料金を系統利用者が支払う新しい枠組みを導入する。
天然ガス分野における透明性と公正さの確保に向けた措置:
- 国内ガス導管網のコスト効果のある拡大を促進するために必要な措置を講じている。
- ガスの輸送・配送部門と他の事業の会計分離を義務付けている。
- 情報遮断の確保と託送供給(TPA)利用者に対する差別的な取り扱いの禁止を進めるために、適正なガス取引についての新しい指針を導入している。
- 液化天然ガス(LNG)基地の第三者利用の交渉を行うための枠組みの確立に向けた指針を発行することにより、LNG施設への託送供給を支援している。
改革の効果に関する監視および査定に向けた措置:
- 市場における公平性、透明性および十分な競争を確保するため、規制の実施を支援する新しい市場監視の仕組みを提案し、また、規制改革の効力を見直し、必要に応じて規制の変更の必要性について評価を行う。
背景:日本政府は、急速な高齢化による多くの課題に取り組むと同時に、医療機器と医薬品産業の競争力の強化を推し進めている。保険償還に関しては、長期的な保険償還制度改革を考慮しながら、2006年の価格改定の準備を行なっている。薬事に関しては、4月1日に施行された改正薬事法の実行をしている。米国政府は、日本の価格および薬事制度を注意深く見守っている。というのは、それらの制度改革が、世界第2位の経済大国である日本に、米国企業がいかに革新的な医療機器と医薬品を迅速に市場導入出来るかどうかに大きく影響を与えるからである。
価格制度に関する進展:日本政府は、価格制度に関して以下の重要な措置を取る。
- 医療機器の外国価格を用いた調整・再算定制度(革新的医療機器を持つ米国製造業者に不相応にマイナス影響を与えた)の要素を見直し、そのルールに関して米国業界に相談をする機会を与え、日本においてビジネスを行なう際の米国業界が実施したコストに関する調査を真剣に考慮する。
- 医薬品の外国価格調整ルールに関して、米国業界に日本政府と相談する意義深い機会を提供する。
- 薬価専門組織の1回目の会合に申請者が参加し、製品の有効性や有用性について発表する機会を試験的に与える。
- 医薬品の保険償還価格を検討する際に、申請者が提出したすべてのデータを受け入れ検討する。
- 診断機器(画像診断機器や対外診断薬など)の保険償還価格を決定する際に、その価値を認識する。そして、診断機器業界に、価格決定プロセスについての透明性を引き続き確保する。
- 生物製剤と化学製剤との間に開発、製造、安全性について差異が存在する事を認識する。
薬事制度に関する進展:日本政府は、薬事制度に関して以下の重要な措置を取る。
- 医薬品医療機器総合機構(総合機構)が、年次業務目標を達成し、医薬品と医療機器のより迅速な審査を行なうための措置を取る。
- 総合機構の業務目標の進展をより評価しやすくする業績指標の有用性について、総合機構と業界の対話を歓迎する。
- 医薬品と医療機器の承認状況に関して、総合機構と申請者の対話を強化する有意義な方法を確立する。
- 工場査察が承認審査を遅らせない事を確認する。
- 米国の血液製剤業界と他の関連団体と、患者のケア、血液製剤の安定的供給に関するその他の関連事項について話し合うための作業を行う。
- 栄養補助食品の規制を、コーデックスで設定された国際的ガイドラインと基準に調和させる。
背景:1990年代後半の日本版「ビッグバン」金融自由化イニシアティブの下で始まった改革を基に、日本は金融サービス市場の開放と自由化のプロセスをこの1年続けている。主要行の不良債権比率を半分に減らす目標を達成した2年間の「金融再生プログラム」に続いて、金融庁は次の2年間の「金融改革プログラム」を2004年12月に発表した。
このプログラムは「金融システム安定の確保」から、多様なサービスを敏速に提供するための金融機関の能力を高める規制緩和を通して、同時に利用者保護を強化することによって、「金融システムの活力の促進」へ焦点の転換を示している。新しいプログラムの下で、2007年までの金融改革の遂行や、高度に進んだ「金融サービス立国」を日本の将来として確立を目指す、意欲的で広範囲な工程表を金融庁は発表した。プログラムの工程表は、販売、プライシング、宣伝、市場行動、利用者保護、企業統治、開示、そしてリスク管理を含む重要分野の改革を示している。これらの改革は、劇的な変化を多くの法律、規則、そしてガイドラインなどに生じさせるかもしれない。提案された改革が経済に大きな影響を与えるかも知れないことを考え、日米両政府はプログラムの実施をめぐり引き続き対話を行うことで合意している。
成長のための日米経済パートナーシップの財務金融対話に基づく日米サービス協議は、日本の金融市場の開放と、金融規制プロセスの透明性の改善においてこの1年の間に挙げられた成果に寄与している。
進展:日本政府がこの1年の間に講じてきた特筆すべき規制改革措置には、以下のものが挙げられる。
- ノーアクションレター制度の利用についての調査を行い、その調査を踏まえた制度の規約の改正、また制度に対する国民の認識を高める方策を講じることによって、ノーアクションレター制度の、より積極的な利用を促進している。
- 規制の透明性を高めるため、金融庁の法令解釈の事例集の編集や出版などの、他の手段も講じている。
- 確定給付年金を提供してない会社の被雇用者のために、個人型確定拠出年金の拠出限度額を引き上げている。
- 確定拠出年金の利用を促進するために、期日前解約要件の緩和や確定拠出年金についての公教育プログラムの実施など、他の手段を講じている。これらの取り組みは、確定拠出年金の利用の促進を通じて、個人投資を奨励し、そして労働力移動を容易にさせる。(日本政府は投資家教育の取り組みや、拠出限度額のさらなる引き上げやその他の改革により、確定拠出年金をより魅力的な退職金積立制度の選択肢とするよう検討している。)
背景:これまで日本は、新規参入や技術革新を通して競争を奨励し、効率的で競争力のある会社を育てる環境をつくり出すことで、経済回復を強固にするために努力してきた。競争政策の成功は強力な独占禁止法(独禁法)および日本市場における反競争的行為を暴き、それに対処するために適切に能力を与えられた公正取引委員会(公取委)にかかっている。それはまた、公的資金を枯渇させ、日本の経済改革の基盤を危うくする談合の慣習を排除するため、および、民営化や規制改革の努力における市場主導の競争原理を取り入れるための日本政府の他省庁からの支持にもかかっている。今年の独禁法大改正を終えたことで、日本は、日本市場におけるさらなる競争環境をつくり出す方向への重要な一歩を踏み出した。
進展:これらの問題に対応するためにこれまで日本が取ってきた、または今後取るであろう重要な方策は以下の事項を含む。
以下によって公取委の施行能力を大いに強化するために独禁法を改正する。
- 談合に関与した企業に対する行政科料(課徴金)を相当に引き上げる。(例:大企業の製造業者やサービス提供事業者ついては現在の売り上げの6%から10%へ、また再犯者に対しては15%へ)
- 公取委の調査前に公取委にカルテルを申告した最初の事業者の課徴金(および刑事告発)を免除し、最多3社まで課徴金を減免する課徴金減免制度を導入する。
- 刑事告発を目指す調査において、公取委調査官に強制捜査令状を入手する権限を与えることにより、公取委の調査権限を強化する。
以下によって公取委の手続きの公正性を高める。
- 公取委による最終命令が出る前に、排除措置命令または課徴金命令の勧告を受けることが見込まれる事業者に対して、証拠の提出および反論の機会を与えることを義務付ける独禁法改正を成立させる。
- 平成18年1月初旬までに、独禁法違反容疑で公取委から警告を受けることが見込まれる関係事業者に対し、警告を行う前に、証拠を提出し、反論の機会を与える制度を導入する。
談合を排除し、防止する以下のような重要な行為
- 26社と多数の個人を鋼鉄製橋梁事業の談合に加わったとして刑事訴追し、内数社に対し過去最長の新事業への入札停止措置を科す。
- 国土交通省(国交省)は、悪質な談合に対する行政罰の強化を含む談合再発防止のための明確な対策を案出する。
- 国交省は、公取委に談合を申告した企業を特定の行政制裁の対象から免除する行政措置減免制度を導入するかどうかの検討に着手する。
背景:日本の規制制度の公正さ、予見性、説明責任の向上のための方法を提言するという主要目的をもって「透明性およびその他の政府慣行」の下、米国は多岐にわたり問題を取り上げてきた。特に、米国は日本にパブリックコメント手続を改善するよう要請してきたが、1999年に設置されて以来、日本の規制プロセスの透明性を向上させるという意味では期待にかなわなかった。しかし今年、先の国会において行政手続き法を改正しパブリックコメント手続きを強化した。パブリックコメント手続きを、より有用なものとするには足りなかったものの、この改正により一歩前進を遂げた。パブリックコメント手続きの改正に加え、日本は構造改革特別区域(特区)制度を拡張し、特区において煩わしい規制に妨げられることなく事業を営めるようになった。他にも日本は検疫手続きの合理化、保険商品の銀行窓販解禁、特定の共済の監督強化などを含む政府慣行の改善に向けて重要ないくつかの措置を講じる。
進展:透明性および政府慣行を改善するため日本がこれまでに遂げた進展の詳細には、以下の事項を含む。
- 日本のパブリックコメント手続きを強化するため、各省庁が提出された意見のすべてを考慮し、全文および/あるいは要約を公表するようにする措置を含んだ法律を2005年6月に制定。
- 特区の合計数を昨年の324から今年は548に増やしたことにより、規制撤廃され、よりビジネスをしやすくなった環境の下、より多くの機会を内外の企業に同等に創出。
- 米国産の果物および野菜生産者にとって貿易を促進するような方法で植物検疫手続きを合理化。
- 2年後の全面解禁に向けて、特定の保険商品の銀行窓販解禁のため規制を緩和。
- 無認可共済を原則として金融庁の監督下に置くよう法改正。
- APECメンバー・エコノミーの国内法制度におけるAPEC透明性基準の完全な実施を達成するため、米国と引き続き協力していくことを確認。
民営化
背景:日本国政府は引き続き公社・公団の再編と民営化のプログラムを進めている。米国政府は日本郵政公社の改革・民営化という日本国政府の決意に特に関心を寄せている。これら改革を進める際に市場指向型のアプローチは、日本経済へ最大限の恩恵をもたらすことを確保する上でも、また日本郵政公社に付与されているすべての特典を廃止することにより、日本の銀行、保険、宅配便サービス分野において歪曲(わいきょく)されていない競争を創出する上でも重要である。日本郵政公社を民営化する法案が、2005年10月に国会で成立した。同法は、日本郵政公社の民営化は2007年に開始し、2017年末までに終了することとしている。
銀行および保険分野における進展:郵政民営化関連法には、日本の銀行および保険市場において公平な市場を達成する助けとなる重要な要素が含まれる。
- 新しく民営化される郵便貯金銀行および郵便保険会社に(アームズ・レングス・ルールを含む)銀行法および保険業法の適用を求める。
- 日本郵政公社の金融商品に対する特別な政府保証を廃止し、新しい郵便貯金銀行および郵便保険会社に対して、他の企業と同様の条件でセーフティーネットの枠組みに参加することを求める。
- 損益計算書の透明性を確保するために、他の民間株式会社に求められるのと同様の会計およびディスクロージャー義務を新しく民営化される金融会社に求める。
- 新しい郵便貯金銀行および郵便保険会社は、民間事業者が順守しているものと同様の追加的な法、納税、規制を順守する義務を負う。しかし民営化移行期間中、これらの新たに設立される銀行と会社に対して、より厳しい業務規制を課す特例規定はこの限りとしない。
- 民間セクターと競合する新商品導入の要求に対する勧告および決定に関する審査を含め、民営化プロセスを進める指針として、対等な競争条件を確保する原理を確立する。
宅配便サービス分野における進展:郵政民営化関連法には宅配便サービスに関しても公平な市場を達成する助けとなる重要な要素が含まれる。
- 他の民間事業者に適用されているものと同様の規制、税制を新しい郵便事業会社に適用する。ただしユニバーサルサービスを確実にし、日本郵政公社の業務および機能が円滑に新会社へ移行するための必要最小限の措置を除く。
- ユニバーサルで独占的なサービスと競争的な配達およびロジスティックスサービス間の非競争的な内部相互補助が行われないことを確実にするための方策(会計およびディスクロージャー義務を含む)を取る。
透明性に関する進展:民営化関連法が成立する過程に透明性を持たせる措置を日本国政府は講じてきた(そして、同法の施行にあたり、さらにそのような措置を講じるであろう)。
- 民間利害関係者が関係職員と意見交換を行い、民営化の進展状況の説明を受ける機会を提供する。
- 郵政民営化委員会による検討も含め、法に規定されている商品承認のプロセスの透明性確保を図るための措置を講じることを確実にする。
- パブリックコメントおよび他の民間利害関係者による意見提出の機会の利用も含め、行政規則、決定、ガイドラインの施行の透明性を図る。
背景:より強固で、競争力のある経済を構築するためには、日本市場において増大する効率的な国際法務サービスおよび法的紛争を解決するための迅速で安価なメカニズムに対する需要に、より効果的に対応することのできる法的環境の構築を日本が継続して行うことが重要である。米国は、日本の顧客の利益のため日本が行った、外国法事務弁護士と日本の弁護士の自由な提携を可能にした2003年の外弁法改正を称賛する。米国はまた、そうした改正が法文化された文言と自由化の精神に則った形で実施されることを期待している。また同時に、米国は、裁判外紛争処理(ADR)メカニズムの開発を促進し日本国民が紛争を迅速かつ安価に解決することを支援する、柔軟で開かれた法的環境を創設するための日本の取り組みを歓迎する。
進展:グローバルな市場により適した法的環境の構築のために日本が講じてきた、または今後講じるであろう重要な新規措置には、以下のものが挙げられる。
- 日本の弁護士(弁護士)と日本国内の外国法事務弁護士(外弁)との共同事業や、外弁による弁護士の雇用を認める外弁法の改正を2005年4月に施行した。
- 法務省は、弁護士事務所の外弁パートナーは、その外弁アソシエイトの(外弁法に基づく)業務の範囲内で法律事務を受諾および担当できると明言している。また、日弁連規則と法務省の見解が整合するよう、この問題について必要な時期に日弁連と協議することを約束している。
- 法務省は、外弁が支所を開設することができる専門職法人の設立を(弁護士が現段階で許可されているのと同様に)認められたか、または外国法律事務所が別個に日本の法務専門職法人を形成することなく支所を設立することが認められた際の、実施上の配慮点について詳細な検討を行う。
- 2007年5月31日までに施行される裁判外紛争処理(ADR)法に関する重要事項を明確化している。
○国際的基準および慣行に合致する方法でADRの推進を円滑化する。
○ADR法の認証制度が完全に任意であり、外国人と日本人に対して同等に開かれたものであることを確保する。
○当事者が一般的に、個々のADR手続きに適用される規則、プロセス、基準を決定することができるよう認める。
○ADR法は、認証を受けないADR業務の提供者のビジネスの継続を制限するものではなく、また新規ADR業務の提供者が認証を受けずに事業を立ち上げることを制限するものではないことを保証する。
○弁護士でない者が認証を受けたADR業務の中立者として活動する場合、必要に応じて弁護士の法的助言を得ることができる体制であれば、弁護士がADR業務を監督しなければならないという一般的要件は課せられないことを確保する。
背景:効果的な企業再編と企業業績の改善が、21世紀のグローバル経済で求められる日本経済の復活と活性化を促進する。例えば、商法における近代的合併手法の導入は、企業再編と投資を促進し、経済強化に大いに役立つ。また優れた企業統治メカニズムの導入は、生産性の向上と経済的に健全な経営意思決定を通じて株主価値を最大化させるための経営者の取り組みを確保することで、企業業績の向上につながる。企業価値の改善には、特に年金基金やミューチュアルファンドなどの大手法人投資家のような、株主の積極的な参加が重要である。米国は、公的年金基金および投資信託(ミューチュアルファンドを含む)の積極的な議決権行使を促進するために日本がこれまでに行ってきた取り組みを歓迎するが、外国人株主による議決権行使の促進など、さらなる取組みが必要である。
進展:企業業績と統治の改善のために日本が講じてきた、または今後講じる重要な新規措置には、以下のものが挙げられる。
- 三角合併や金銭合併、ショートフォーム(スクイーズアウト)・マージャー等の近代的合併手法の使用を可能とするよう、会社法を改正する。
- 企業がM&A取引を実施する際の判断における税制措置の重要性を(その他の要因とともに)考慮し、三角合併に対する適切な税制措置を導入するという意思を会社法の改正施行までに確立する。
- 株主価値の最大化をその目的および効果としない、または経営陣の既得権益を守るための買収防衛策については、導入または行使を控えるよう企業に対して要請する。
- 投資信託協会が議決権代理行使の実際の記録の公開を投資信託運用者に求めるよう奨励する。
- 公的年金基金が運用者に対して議決権の代理行使の方針を公表するよう要請する。また、そうした方針の公開を運用者に求めるために投資運用指針を改訂するかどうかについて調査を継続する。
- 上場企業の外国人株主数増加を考慮し、東証規定の見直しを含めた上場企業の企業統治を強化するための東京証券取引所の役割を検証する。
流通
背景:商品を迅速かつ安価に通関させ、消費者の手に渡るように動かすことができる能力は、経済効率向上への肝要な手段である。それには流通に関する規制および他の阻害要因を最小限に抑え、通関手続きが円滑であり、エクスプレス航空貨物輸送業による自由な商品および情報の交換を阻む費用を最低限に保つことを必要とする。同様にクレジットカード、デビットカード、ATMカードの利用拡大は、消費者に対する恩恵と、より円滑な経済運営をもたらし、効率的かつ合理的な車両登録手続きは自動車リース会社の障害を軽減することとなる。真にシームレスな物流システム創設のためには、まだ多くのことがなされなければならないが、米国政府は成田国際空港株式会社の着陸料引き下げを意図する発表を歓迎するとともに、同空港は依然として世界で最も費用のかかる空港のひとつであることもここに記す。米国政府はまたクレジットカードとデビットカードの安全かつ広範囲な利用を促進し、大量自動車リース会社の登録にかかわる負担を軽減する方策を検討している日本政府の尽力を歓迎する。
進展:この分野において今まで日本が講じてきた、または今後講じていく重要な措置には、以下が挙げられる。
- 成田国際空港株式会社(NAA)の着陸料引き下げ提案を歓迎。
- 空港利用料金は、透明性確保も含めて、国際民間航空機関(ICAO)の理念に従って決定されるべきものであると認識。
- 日本の銀行のATMネットワークにおけるセキュリティーのレベルを国際基準と同等のレベルに維持することの重要性を認識した。
- 日本におけるクレジット・デビットカード犯罪に関する取り締まりを引き続き強化し、「生カード」の密輸入防止と不正利用防止のため税関および入国管理局、クレジットおよびデビットカードの発行者、ならびに販売者との連携を強化する。
- 地方公共団体のサービス使用料に対しカードによる支払いを導入することに関して検討するため、総務省に研究会を設置する。規制改革・民間開放推進三カ年計画〔改定〕に明記されているように、この検討結果をふまえて2005年度末までに総務省は結論を出す。
- 市場開放問題苦情処理推進会議(OTO)による道路運送車両法の見直しについての提言に関する報告書を受け、車両登録手続にかかわる自動車リース会社の負担を軽減するための措置が可能か検討を進めている。


駐日米国大使