
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
ホワイトハウス報道官室
2009年7月11日、ガーナ共和国アクラ
(トランペットが鳴って)これは良いですね。ありがとう。ありがとう。米国議会にもこういう管楽器が必要ですね。なかなか良い響きです。まるでルイ・アームストロングが舞台裏にいるみたいです。
皆さん、こんにちは。アクラを訪問して、ガーナ国民を代表する皆さんの前でお話しさせていただくことを大変名誉に思います。私は、皆さんが、私とミッシェル、マリア、サーシャを温かく迎えてくださったことに深く感謝します。ガーナは豊かな歴史を持つ国で、米国とガーナは強いきずなで結ばれています。そして、これが、私が米国大統領として、サハラ以南のアフリカへの最初の訪問であることを誇りに思います。
本日、私たちをお招きくださったことに対し、議長とすべての議員の方々に感謝いたします。ミルズ大統領の卓越した指導力に感謝いたします。ジェリー・ローリングス元大統領、クフオー前大統領、副大統領、最高裁判所長官の非常に温かいおもてなしと、皆さんがここガーナに築き上げられた素晴らしい諸機関に感謝いたします。
私は、今回の長い旅の終わりに、皆さんにお話しさせていただいています。この旅は、ロシアでの米ロ首脳会談から始まりました。それから私は、主要国首脳会議に出席するためにイタリアを訪れました。そして、ここガーナに来たのですが、その理由はごく単純なことです。21世紀は、ローマやモスクワ、あるいはワシントンでの出来事だけで方向付けられるのはでなく、アクラでの出来事によっても決まるからです。
これは、私たちのつながりによって、人々を隔てる境界線が崩れゆく時代の単純な真理です。ガーナの繁栄は米国の繁栄を拡大することができます。ガーナの皆さんの健康と安全は、世界の健康と安全に貢献できます。そして、ガーナの民主主義の力を借りて、世界中の人々のために人権を推進することができます。
ですから私は、アフリカの国々や人々を、私たちとは全く異なった世界であると考えてはいません。私はアフリカを、相互に関連しあう世界の重要な一部として、また、すべての子供たちのために描く未来を実現するための米国のパートナーとして考えています。このパートナーシップは、相互の責任と尊敬に根差していなければなりません。そして、本日、私が皆さんにお話ししたいのは、まさにその点なのです。
私たちは、まず、アフリカの未来はアフリカ人が責任を持つという単純な前提から出発しなければなりません。
私は、世界のこの地域を時に悩ませてきた悲劇的な過去を十分理解した上で、こう言っているのです。何しろ、私と、私の家族にはアフリカの血が流れており、私の家族の歴史は、より大きなアフリカの歴史の悲劇と勝利の両方を内包しているのですから。
皆さんの中には、私の祖父がケニアで、英国人に雇われたコックとして働いていたことをご存知の方もいらっしゃるでしょう。彼は村では尊敬される年長者でしたが、その人生の大半を主人から「ボーイ」と呼ばれて過ごしました。彼は、ケニヤの解放運動には末端でしかかかわっていませんでしたが、それでも圧制の時代にはしばらくの間投獄されました。彼の人生において植民地主義は、単に不自然な国境や不公正な貿易条件が設定されるというだけのことではなく、毎日、そして毎年個人的に経験することでした。
私の父は、小さな農村でヤギ追いをして育ちました。彼が後に教育を受けるために向かった米国の大学からは信じがたいほど遠く離れた場所でした。父が成人となったのは、アフリカに多大な期待がかけられていた時期でした。 彼の父親の世代の大変な努力によって、新しい国々が誕生していましたが、それはまさにこのガーナの地から始まりました。アフリカの人々は新たな方法で、自ら学び、自分の権利を主張しました。歴史は動いていました。
しかし、これまでの進展、アフリカの多くの地域で相当な進展があったにもかかわらず、そうした期待の多くがまだ実現していないことも分かっています。私が生まれた当時、ケニアなどの国々の国民1人当たりの経済規模は、韓国をしのいでいました。今では追い越され、大きく引き離されてしまいました。病気と紛争がアフリカ大陸のさまざまな地域を荒廃させたのです。
多くの場所で、私の父の世代が抱いた希望は悲観的な考えに変わり、絶望にさえ変わったこともありました。これらの問題について、他人を非難したり、責任を押し付けるのは簡単です。確かに、ほとんど意味のない植民地地図は、紛争を引き起こす原因となりました。西洋諸国はアフリカに対し、しばしば、パートナーというよりむしろ、顧客あるいは資源の供給源として接してきました。けれども、西洋諸国は、過去10年におけるジンバブエの経済破たんや、戦争で子供が戦闘員として徴兵されることについては、責任がありません。私の父が、長い間出世の道から外された理由の一端は、独立後のケニアの部族主義、利権主義、縁故主義にありました。そして、私たちは、今でもまだ、このような腐敗が、あまりにも多くの人々にとって、日常的茶飯事であることを知っています。
しかし私たちは、それがアフリカのすべてではないことも知っています。ここガーナで、皆さんは、悲劇や慈善の必要性しか見ようとしない世界が見過ごしがちなアフリカの一面を、私たちに見せてくれました。 ガーナ国民は、大激戦の選挙の後でさえも、何度も平和的に政権移譲を行い、民主主義をより安定した基盤の上に確立すべく懸命の努力をしてきました。ところで、この点について、少数派も多数派と同様に称賛されるべきだと言っても差し支えないでしょうか。そして、統治の向上と市民社会の出現により、ガーナ経済は目覚しい成長率を見せています。
こうした進展は、20世紀の解放運動時のようなドラマ性に欠けるかもしれませんが、間違えないでください。今回の進展は、最終的にはより重要なものとなるでしょう。なぜなら他国の支配から脱することは重要ですが、自分たちの国家を建設することはさらに重要なことだからです。
ですから、ガーナとアフリカにとって今は、私の父が成人し、新たな国家が誕生しつつあった時と同じくらい、希望にあふれた時代だと思います。大きな期待に満ちた新たな時代です。ただし、今回に関しては、アフリカの未来を決定するのはエンクルマ氏やケニヤッタ氏のような巨人ではありません。アフリカの未来を決定するのは、皆さん、つまり、ガーナ国民議会の議員の方々、そして皆さんが代表するガーナ国民です。これまでの世代の多くの人々が実現し得なかった未来を、これから手にすることできるのは、才能と活力と希望にあふれた若者たちでしょう。
さて、その期待を実現するためには、まず私たちは、ガーナの皆さんが命を吹き込んだ基本的な真実を認識しなければなりません。それは、発展の成否は優れた統治にかかっている、という真実です。これが、あまりにも多くの場所で、あまりにも長い間、欠けていた要素です。これこそ、アフリカの潜在的可能性を引き出すことができる変化です。そして、アフリカ人のみがこの責任を果たすことができるのです。
米国をはじめとする西洋諸国の取り組みについては、援助額の大きさだけで判断すべきではありません。私は、対外援助を大幅に増加することを約束しましたが、これはアフリカと米国の両方の利益にかなうものです。しかし、本当の意味で成功の証と言えるのは、人々が辛うじて暮らしていけるだけの援助を私たちが永続的にしていくことができるかどうかではなく、大変革に必要な能力の構築においてパートナーであるかどうか、です。
こうした相互の責任を、私たちのパートナーシップの基盤としなければなりません。そして、本日私は、アフリカとすべての開発途上国の未来にとって極めて重要な4つの分野に焦点を当ててお話をしたいと思います。すなわち、民主主義、機会、保健、そして紛争の平和的解決です。
まず最初に、私たちは、強固で持続可能な民主的政府を支援しなければなりません。
私がカイロで述べたように、どの国家も、伝統に根差した独自の方法で民主主義に息を吹き込んでいます。けれども、歴史が証明しているように、国民の意思を尊重し、強制でなく合意によって統治する政府は、そうでない政府よりも、繁栄し、安定し、成功します。
これは、単に選挙を実施するということにとどまるものではなく、選挙と選挙の間の出来事も重要です。圧制の形はさまざまで、選挙を実施する国家を含め、あまりにも多くの国家が、自国民を貧困状態へと追い込む問題に悩まされています。国の指導者が、私腹を肥やすために経済を搾取する国や、警察が麻薬密売人によって買収されるような国は、富を創出できません。政府が総収入の20%もかすめ取る国や、港湾局の長が腐敗している国に投資したいと思う企業はありません。蛮行や贈収賄の支配が法の支配に取って代わるような社会には、誰も住みたがりません。たとえ時折選挙を行ったとしても、それは民主主義ではなく、専制政治です。そして、今こそ、そのような形の統治に終止符を打たなければなりません。
21世紀には、能力と信頼性と透明性が高い機関・制度を有することが、国家を成功に導く鍵となります。 つまり、強力な議会、誠実な警察、独立した裁判官、独立した報道機関、活気ある民間部門、市民社会などを有することです。これらは民主主義を実現するための要素です。なぜなら、これこそ、人々の日常生活に大きく関わることだからです。
さて、ガーナ国民は何度も、専制政治よりも立憲政治を選択し、国民の活力によって切り抜けることを可能にする民主主義の精神を示してきました。私たちはそれを、敗北を潔く受け入れる指導者の中に見出します。昨夜、私が飛行機で到着したときに、ミルズ大統領に反対する人々が、彼の隣で私を出迎えてくれたという事実が、ガーナの実態を雄弁に語ってくれました。彼らは、不当な方法で反対派に権力を行使するよう求めた声に抵抗する勝利者です。私たちはこの精神を、真実を伝えるために命を賭けたアナス・アレメヤウ・アナス氏のような勇気あるジャーナリストの中に見出します。また、ガーナ初の人身売買事件の起訴に貢献したペイシャンス・クエイ氏のような警察官の中に見出します。縁故主義に反対の声を上げ、政治のプロセスに参加している若者たちの中に見出します。
アフリカ全土で、自分の運命を決める主導権を握り、社会の底辺から変革を起こす人々の事例を、数え切れないほど目にしてきました。例えば、選挙後の暴力行為を阻止するために、市民社会と産業界が協力したケニア。最近行われた、アパルトヘイトの撤廃後4回目の選挙で、国民の4分の3以上が投票に参加した南アフリカ。選挙支援ネットワークが、投票は人々の神聖な権利であるという理念を守るために、残酷な弾圧に果敢に立ち向かったジンバブエ。このような国々です。
しかし、間違えないでください。歴史は、クーデターを利用したり、権力の座にとどまるために憲法を改正する人間ではなく、勇敢なアフリカ人の味方です。アフリカは強い統治者を必要としていません。強力な機関・制度を必要としているのです。
ところで米国は、他国に対し、いかなる統治制度も押し付けるつもりはありません。民主主義の本質は、各国が自国の運命を決定することにあります。けれども米国は、優れた統治への支援、権力の乱用を阻止し、反対派の意見に耳を傾ける議会、平等な司法行政を確実にする法の支配、若者の関与を促す市民参加、透明性と説明責任を推進するための法廷会計や自動化サービス、ホットラインの充実、内部告発者の保護などを含む腐敗に対する具体的な解決策などに重点おきながら、責任ある個人と責任ある機関・制度への支援を強化します。
そして、米国はこうした支援を行います。私は、人権報告書の作成に当たり、腐敗の問題により多くの注意を払うよう、担当者に指示を出しました。世界中の人々は、わいろを支払わずとも事業を起こしたり、教育を受ける権利を有するべきです。私たちには、責任を持って行動する人々を支援し、そうでない人々を孤立させる責任があります。そして、それは、まさに米国が行おうとしていることです。
この点は、パートナーシップの2つ目の分野に直接つながります。それは、より多くの人々に機会をもたらす開発への支援です。
統治の向上によってアフリカの繁栄の基盤が拡大する可能性があることは、疑うべくもありません。米国でアフリカ人が、驚くほどの成功を収めていることを見ればわかります。彼らは、とても良くやっています。彼らには才能があり、起業家精神も備えています。問題は、どうすれば彼らが確実に母国で成功を収められるようになるかということです。アフリカ大陸は、天然資源が豊富です。そして、携帯電話事業の起業者から小規模農家に至るまで、アフリカ人は、自ら機会を創出する能力と意欲を示しています。けれども、古い習慣を断ち切ることも必要です。一次産品や単一の輸出品への依存は、一握りの人々に富を集中させる傾向があり、他の人々が不況の被害を受けやすくなってしまいます。
例えばガーナでは、石油が大きな機会をもたらしています。皆さんは、新たな収入源を得るための準備に責任を持って取り組んできました。しかし、多くのガーナ人が知っているように、石油が容易に新たなココアになるわけではありません。韓国からシンガポールに至るまで、国民とインフラ基盤への投資、複数の輸出産業の促進、熟練労働者の育成、雇用を創出する中小企業のための機会の提供などを行った国が繁栄することは、歴史が示すところです。
アフリカの人々がこの期待を実現しようとする中、米国は援助においてより多くの責任を負うことになります。私たちは、欧米のコンサルタントや援助の運営に渡る費用を削減することにより、資源を必要とする人々により多くの資源を提供する一方で、自力で活動できるよう人々を訓練したいと考えています。米国の35億ドルの食糧安全保障イニシアチブが、単に米国の生産者や農産物をアフリカに送るだけでなく、農家が利用できる新たな農法や技術にも重点を置いているのはそのためです。援助は、援助すること自体が目的ではありません。対外援助の目的は、援助を必要としない環境をつくり上げることでなければなりません。私は、ガーナが、自給自足を達成するだけでなく、他国に食糧を輸出し収入を得るようになることも期待しています。皆さんにはそれができます。
米国は、貿易と投資の促進のために、ほかにもできることがあります。 豊かな国々は、意味のある方法で、アフリカからの財貨・サービスに市場を開かなければなりません。これは、私の政権の公約となるでしょう。優れた統治の下では、道路や電気のインフラ整備に投資する官民パートナーシップ、事業を成長させるための訓練を行う能力開発、都市だけでなく貧困・農村地域を対象とする金融サービスを通して、繁栄を拡大することが可能です。これもまた、米国の利益になります。なぜなら、アフリカで人々が貧困から抜け出し、富が創出されれば、米国製品のための新たな市場が開かれることになるからです。ですから、これは双方にとって望ましいことなのです。
否定することができない危機を内包しているものの、大いに期待できる分野のひとつが、エネルギーです。アフリカは、温室効果ガスの排出量が世界のどの地域よりも少ないのですが、気候変動の脅威に最もさらされています。温暖化が進む地球では、病気がまん延し、水源が減少し、農作物が枯渇し、飢餓と紛争を増加させる状態が生み出されます。私たち全員、特に先進国は、軽減策やエネルギーの使用方法を変化させることによって、こうした動きを遅らせる責任があります。しかし、また、私たちは、アフリカの人々と協力し、この危機を機会に転ずることもできます。
私たちは地球と自らの繁栄のために協力し、各国が電力を利用しやすくする一方で、開発の中でも環境汚染が激しい段階を飛ばして前進できるよう支援することができます。考えてみてください。アフリカ全土には、風力エネルギーと太陽エネルギー、地熱エネルギーやバイオ燃料が豊富にあります。リフト渓谷から北アフリカの砂漠地帯に至るまで、また、西海岸地帯から南アフリカの作物地帯に至るまで、アフリカはその豊かな自然の恵みによって、自らが使用する電力をつくり出し、収益性の高いクリーンなエネルギーを海外に輸出することができます。
こうした措置が関係してくるのは、バランスシートの成長を示す数字だけではありません。教育を受けた若者が、家族を養う仕事に就くことができるかどうか、農家が作物を市場に出荷できるかどうか、優れたアイデアを持つ起業家が事業を起こすことができるかどうかにも関係します。また、労働の尊厳や、21世紀にアフリカ人が享受しなければならない機会にも関係するのです。
統治は、機会にとって不可欠な要素であるのと同じように、これから私がお話しする3つ目の分野にとっても重要です。それは、公衆衛生の強化です。
近年、アフリカの一部の地域では、非常に大きな進歩が見られています。 HIV・エイズに感染しながらも生産的な生活を送り、必要な薬を入手している人が増えています。私は、妊婦の健康状態を専門とする素晴らしい病院を見学してきました。しかし、それでもまだ、死ぬはずのない病気で、あまりにも多くの人々が死んでいます。蚊に刺されて子供が死んだり、出産で母親が死んだりすると、さらに大きな進歩が必要であることに気付きます。
しかし、奨励制度があるがゆえに―そして多くの場合、こうした奨励制度は援助国が提供します―多くのアフリカ人医師や看護師は、海外に行くか、特定の病気を専門にしたプログラムに携わります。このことは、一次医療と基本的な予防医療の間に格差を生み出しています。一方、個々のアフリカ人は、それぞれの地域社会や国家で、公衆衛生を向上させながら、病気のまん延を予防するために責任ある選択も行わなければなりません。
アフリカ全土で、これらの問題に取り組む人々の例を目にします。ナイジェリアでは、キリスト教徒とイスラム教徒の異教徒間の取り組みが、マラリアに立ち向かうための協力の一例となっています。ここガーナで、そしてアフリカ全土で、医療格差を解消するための革新的なアイデアが見られます。例えば、大都市の医師が小さな町の医師を支援することを可能にするEヘルス計画などです。
米国は包括的でグローバルな医療戦略を通して、こうした取り組みを支援していきます。なぜならば、21世紀においては、私たちは、良心だけでなく、共通の利益に基づいて行動することが求められているからです。その理由は、アクラで予防可能な病気で子供が死んだ場合には、世界の至る所で被害が生じるからです。そして世界のどこであろうと、病気を止めることができなかった場合には、それが海洋や大陸を渡ってまん延し得ることが分かっています。
私の政権が、こうした問題への取り組みに630億ドル拠出することを約束したのはそのためです。630億ドルです。ブッシュ前大統領による精力的な取り組みを基盤に、私たちはHIV・エイズとの戦いを前進させていきます。マラリアと結核による死亡をなくすという目標を掲げ、ポリオの撲滅に取り組みます。これまで手付かずだった熱帯病と戦います。しかし私たちは、単独で病気に立ち向かうことはしません。健康状態を向上させ、母子の健康に力を入れる公衆衛生制度に投資します。
より健康な将来に向けて協力するに当たり、私たちは、病気でなく人間が原因で起こる破壊を阻止しなければなりません。ですから、私がお話しする最後の分野は紛争の問題です。
はっきり言いましょう。アフリカは、風刺画に粗雑に描かれた永遠に戦争が終わらない大陸ではありません。しかし、正直に言えば、あまりにも多くのアフリカ人にとっては、太陽が常に存在するのと同じように、紛争が生活の一部となってしまっています。土地をめぐる戦争もあれば、資源をめぐる戦争もあります。そして、良心を持たない者たちにとって、地域社会全体を巧みに誘導し、宗教間や部族間の闘争に陥らせることは、今もたやすいことです。
これらの紛争は、アフリカにとって重荷となっています。現在、私たちは皆、部族や民族、宗教や国籍など、いくつものアイデンティティーを有しています。しかし、異なる部族に属する人や、異なる預言者を崇拝する人との対立で自らを定義することは、21世紀にふさわしくありません。アフリカの多様性は、分裂の原因ではなく、力の源泉であるべきです。誰もが神の子です。私たちは、平和で安全に暮らすこと、教育と機会を得ること、家族や地域社会や信仰を愛することといった、共通の願望を共有しています。これは、私たちに共通の人間性なのです。
私たちの中にある残忍さに立ち向かわなければならないのはそのためです。イデオロギーの名の下に、罪なき人々を標的にすることが正当化されることは決してありません。戦争で人殺しをするよう子供たちに強要することは、社会に対する死の宣告です。女性を執拗(しつよう)かつ組織的に暴行することは、犯罪性と卑劣さを最も過激な形で表す行為です。私たちは、ダルフールのすべての子供の価値と、コンゴのすべての女性の尊厳の証人とならなければいけません。いかなる信仰や文化も、自らに対する暴力を許してはなりません。そして私たち全員が、進歩に必要な平和と安全を求めて努力しなければなりません。
アフリカ人は、こうした未来を目指して立ち上がっています。ここガーナでも、皆さんが、未来の方向性を示すために貢献しています。ガーナ人は、コンゴからリベリア、レバノンに至る地域における平和維持への貢献と、麻薬取引がもたらす災難を防ぐ活動に誇りを持つべきです。私たちは、アフリカ連合や西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)などの組織が、効果的な紛争解決、平和維持、恵まれない人々の支援などを目指して実施している措置を歓迎します。そして、必要に応じて有能な多国籍軍を組織することを可能にする、強力な地域の安全保障体制の構想を奨励します。
米国は、この構想を前進させるためのパートナーとして、 皆さんに協力する責任がありますが、言葉だけでなく、アフリカの能力を向上させる支援を提供します。ダルフールでの大虐殺や、ソマリアのテロリストは、単にアフリカの問題にとどまりません。それは、グローバルな安全保障の問題であり、グローバルな対応を必要とします。
米国に、外交、技術援助、後方支援などを通じて協力する準備ができているのはそのためです。そして、戦争犯罪者に責任を負わせる活動を支援します。はっきり言いましょう。米軍のアフリカ司令部が重視しているのは、アフリカ大陸に拠点を築くことではなく、米国、アフリカ、そして世界の安全保障の前進を目指して、共通の課題に立ち向かうことです。
モスクワで私は、人間の普遍的権利を尊重し、それらの権利の侵害に対抗する国際制度の必要性についてお話ししました。その制度は、紛争を平和的に解決する人々への支援、それを怠る者に対する制裁と阻止、そして苦しんでいる人々への支援を約束するものでなければなりません。しかし、究極的には、紛争の原因をひとつずつ取り除き、平和と繁栄の最先端を広げるのは、ボツワナやガーナのような活力のある民主主義国家でしょう。
私が先に述べたように、アフリカの未来は、アフリカ人が責任を持たなければなりません。アフリカの人々は、その未来を要求する準備ができています。私の国では、アフリカ系米国人が、最近移民して来た非常に多くの人々を含め、社会のあらゆる部門で成功しています。私たちは、困難な過去を乗り越え、これを実現してきました。そして、アフリカの伝統から強さを受け継ぎました。強力な制度と強い意志があれば、ナイロビでも、ラゴスでも、キガリでも、キンシャサでも、ハラレでも、そしてここアクラでも、アフリカ人は自らの夢を実現できることを私は知っています。
ご存知のように52年前、世界の目はガーナに向けられていました。そして、マーチン・ルーサー・キングという名の若い伝道師が、英国国旗が降ろされ、ガーナの国旗が掲揚されるのを見守るために、ここアクラにやってきました。それは、ワシントン大行進が行われ、米国で公民権運動が成功する以前のことでした。キング博士は、国家の誕生を見守っていたときにどのように感じたかを尋ねられ、こう答えました。「最後は正義が勝利するという私の信念を再確認した」と。
今、あの勝利をまた勝ち取らなければなりません。そして、それは皆さん自身で勝ち取らなければならないのです。私はアフリカ中の、そしてここガーナの、特に若者たちに向かって語りかけています。ガーナのような国では、若者が人口の半分以上を占めています。
どうか、今から言うことを知っておいてください。世界は皆さんが思うとおりになります。皆さんは国の指導者に責任を負わせ、国民のために役立つ制度を築く力を有しています。皆さんは、地域社会に奉仕し、自らの活力と知識を利用して、新たな富を創造し、世界と新たなきずなを築くことができます。病気を征服し、紛争を終結させ、社会の底辺から変革を起こすことができます。皆さんにはそれができます。「イエス・ユー・キャン」。なぜなら、今この時、歴史は動いているからです。
しかし、これらは、皆さん全員が自分の未来に責任を持った場合のみ、実現することが可能です。そして、それは容易なことではありません。時間と努力が必要です。苦しみや挫折もあるでしょう。しかし、私は皆さんに約束することができます。米国はパートナーとして、また、友人として、常に皆さんと共にあることを。しかし、機会はほかでもない、皆さん全員が行う決定、皆さんの行動、皆さんが心に宿す希望などから生まれるのです。
ガーナの皆さん、自由は皆さんが受け継いだ遺産です。自由の基盤を強化していくことが、皆さんの責任です。 これを実行すれば、数年後にアクラのような場所を振り返ったとき、あの期待が実現し、繁栄が築かれ、痛みが克服され、新たな進歩の時代が始まったのはあの時だったのだ、と言うことができるでしょう。それが、正義の勝利を再度目撃する時かもしれません。イエス・ウイ・キャン。どうもありがとうございました。皆さんに神のご加護がありますように。ありがとう。


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