
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。質疑応答の日本語の発言部分は、その英語通訳を日本語に翻訳し、編集しています。
2008年11月6日、東京アメリカンセンター
シーファー大使 昨日は、米国の歴史に刻まれる記念すべき1日となりました。米国の独立宣言には、「われわれは以下の事実を自明のことと考える。すなわち、すべての人は生まれながらにして平等であり、創造者によって、侵されざるべき権利を与えられており、その権利には、生命、自由、そして幸福の追求が含まれる」という不朽の言葉があります。この言葉は、米国の良心となりました。これが書かれた当時、米国で選挙権を与えられていたのは、土地を所有する白人男性だけでした。それにもかかわらず、独立宣言のこの言葉の持つ力、正義と平等を訴えるこの言葉の持つ力により、わが国はこの言葉が意味する範囲を次第に広げていきました。
まず、土地を所有しない白人男性にも選挙権が与えられました。次に、南北戦争によって奴隷制が廃止され、独立宣言で約束された市民権が黒人の米国民にも与えられました。米国の良心は1920年代に再び声を上げ、「すべての人は生まれながらにして平等」とは、正確にはすべての男性と女性のことであると主張し、女性にも選挙権が与えられました。1950年代と60年代に、私たちは、「分離すれども平等」という言葉がむなしく聞こえることを理解するようになりました。1人の米国民が、人種を理由に他の米国民から分離されなければならないとしたら、真の平等は決してあり得ませんでした。
私は、これまでの人生で、米国の大きな変化を目にしてきました。米国は、マーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を借りれば、人が「肌の色ではなく人格によって」判断される社会に絶えず近づいています。私は、史上最も多様性に富んだ政権の一員であることを誇りに思っています。現政権では、過去のどの政権にも増して、女性、アフリカ系、ラテン系、アジア系などの米国人が、力と影響力のある地位に就いています。
しかし、昨日は、確かに、米国史上に残るとても特別な日でした。どちらの政党が勝ったとしても、米国に女性の副大統領、またはアフリカ系米国人の大統領のいずれかが誕生することになっていました。昨日、すべての米国民にとっての米国の約束が完全に果たされようとしていると認識した国民の反応を見ながら、私は自分の国に対する誇りがわき上がってくるのを感じていました。米国の良心が再び声を上げ、肌の色や人種にかかわらず、米国人が、人種または性別を理由に、国家に貢献する機会を拒否されることはない、と明言したのです。
人種にかかわらず、また性別、宗教、出自、所属する政党、そして政治的思想にかかわらず、昨日は、米国民の大多数が私と同じように感じたと思います。昨日は、アメリカン・ドリームが実現した素晴らしい日でした。
今日、世界中の人々が、米国の政権交代が各国の対米関係にどう影響するのだろうか、と考えています。私は、日本国民に対して、米国は昨日と同じように今日も、そして明日も皆さんを支援するといって安心してもらうことができればと思っています。現政権と次期政権とでは、その姿勢や流儀に違いはあるでしょうが、オバマ大統領はブッシュ大統領と同様に、日米の同盟と友好関係を重視し育んでいくと確信しています。彼がそうする理由は、戦後歴代の民主党および共和党政権と同じです。すなわち、それが米国にとって不可欠かつ戦略的な国益となるからです。
それでは、これから皆さんのご質問にお答えします。
問 通商政策と、それが日本にとってどのような意味を持つのかということについてお聞きします。オバマ次期大統領は、コロンビアおよび韓国との自由貿易協定(FTA)に反対していると言われていますが、民主党が上下両院とホワイトハウスを支配することになった現在でも、連邦議会が韓国とのFTAを批准できるとお考えですか。それとも、特に労働および環境基準について、韓国とFTAの再交渉をすることが必要になるとお考えですか。また、日本にはどのような影響があるのでしょうか。日本と米国が日米のFTAまたは経済連携協定(EPA)の交渉を開始するためには、まず韓国FTAの批准を待たなければならないのでしょうか。
シーファー大使 鈴木さんのご質問には、いくつもの質問が含まれています。私は、各政権がそれぞれの通商政策を決めると考えています。この政権…次期政権も例外ではありません。しかし、私たちがグローバル化された世界に住んでいることは皆が認識していると思います。そして、民主党、共和党のいずれも、貿易を信奉していると言ってきたと思います。彼らが望むことは…公正な貿易とは何かという定義は、それぞれ異なるかもしれません。次期政権の定義は、その前の政権とは異なるでしょうが、どの政権にも貿易に対する強い関心はあると思います。私はここで、オバマ大統領がどのような通商政策をとるのかを皆さんにご説明することはできません。それは彼が考えることだからです。しかし私は、貿易が今後も継続すると信じていますし、どの政権も、どうすれば収支のバランスの取れた、いずれの当事者にとっても好ましい貿易を実現できるか、という問題に対する答えを出そうと努力すると考えています。
問 北海道新聞の今川です。オバマ政権では、米国の対日政策、特に北朝鮮との拉致問題に関連した対日政策が変わるでしょうか。オバマ政権は、ブッシュ政権に比べて対話を重視するようになりますか。北朝鮮拉致問題に関して、日本が置き去りにされるのではないかと懸念されています。また、アフガニンスタンやテロとの戦いに関して、日本は給油活動で貢献していますが、次期政権は日本に対して、もっと現場での貢献または資金面の貢献、財政的な貢献を増やすことを要請するでしょうか。次の質問ですが、日本の与党は共和党とのつながりが深く、民主党とはそれほどつながりがありません。また麻生首相には民主党との交流が少ないことを指摘する人たちもいるため、私たちは、民主党政権と十分なネットワークを確立できるのだろうかと考えています。この点についてコメントをいただければ幸いです。どうもありがとうございます。
シーファー大使 まず、最後のご質問にお答えします。私は、民主党の対日外交政策、あるいは共和党の対日外交政策というものが存在するとは思いません。あるのは、米国の対日外交政策だけだと思います。そして私は、日本政府は米国と親密な関係を築くことができる、どの首相も米国と親密な関係を築くことができる、と考えています。それは、日米両国には非常に多くの共通点があるからです。また、麻生首相が新大統領との間に、過去の首相と大統領の場合と同様の関係を築くことができると確信しています。それが、米国の政策の党派を超えた特徴です。良好な日米関係についてよく知る人たちの名前を思い浮かべてみると、民主党政権の駐日大使だったエドウィン・O・ライシャワーのような人が頭に浮かびます。また、民主党員でありながら、カーター政権とレーガン政権の両方にわたって大使を務めたマイク・マンスフィールド大使のことも頭に浮かびます。こうした例を挙げればきりがありません。私が日本に着任したとき、そしてその後も駐日大使を務める中で、誰よりも力になってくれたのが、私の前に駐日大使を務めたモンデール元副大統領とフォーリー元下院議長でした。私たちが良い関係を築くのは難しいことではありませんでしたし、日米関係について話し合うのは難しいことではありませんでした。なぜなら、民主党も共和党も戦後ずっと、米国の安全保障は日本との良好かつ健全な関係と同盟にかかっていると信じてきたからです。昨日の出来事によってそれが変わることはありません。そして日本国民は、オバマ大統領が、これまでの民主党の大統領と同様に日米関係の重要性を理解することを、ある程度確信してよいと思います。私は、かなりの自信を持ってそう言うことができます。そして日本の国民は、私たちのこれまでの歴史と関係に信頼を置いてよいと思います。
拉致問題をめぐる政策については、アフガニスタンとの関連でお答えします。この政権は…次期政権は、インド洋での給油活動およびテロとの戦いで日本が行ってきたことを高く評価すると思います。その上で、アフガニスタンにはまだなすべきことが多数残っていることは誰もが理解しており、アフガニスタンでの活動に対する貢献を日本が拡大することを米国は歓迎すると思います。日本がアフガニスタンでの活動への貢献を拡大することは、国際社会全体に歓迎される、と思います。なぜなら、アフガニスタンが自由の追求に成功することが、国際社会の安全保障にとって重要だからです。アフガニスタンが破たん国家となることは、誰の利益にもなりません。私たちは1度それを経験しましたが、その結果としてタリバンが支配権を握り、そこから9・11の悲劇が発生しました。その再現を望む者は誰もいません。破たん国家がテロリストの避難所となり得ること、そして米国だけでなく世界各国にとって脅威となり得ることを、誰もが認識しているからです。従って私は、いかなる形であろうと日本がアフガニスタンで何らかの貢献ができるならば、どの米国政権にも高く評価されると考えています。
拉致問題については、オバマ上院議員は、北朝鮮のテロ支援国家指定解除が行われた際に、拉致問題について発言し、拉致問題に対する日本の姿勢を支持することを実感したと語ったと思います。彼には2人の幼い娘がいますが、私は、子どもを持つ人、まして2人の幼い娘を持つ人なら誰でも、横田めぐみさんの物語に同情を禁じ得ないと思います。そして、その話を聞いた人は…私は横田さんご一家が大勢の人たちにめぐみさんの話をするのを聞いてきましたが、その話を聞いた米国人は皆涙を浮かべます。それは、この話が恐ろしい悲劇だからです。私は、米国の大統領なら誰でもこの問題に対応し、その微妙な性質を理解し、横田さんの事件だけでなく、北朝鮮との間の他の拉致事件も解決しようとする日本の努力を支持すると思います。
問 こんにちは。毎日新聞の白戸と申します。沖縄の米軍基地についてお聞きします。ここから日本語で質問させていただきます。現在、日米政府間で、特に普天間基地の費用負担の軽減について話し合いが行われており、代替基地を設けることで合意に達していますが、残念ながらあまり進展が見られません。オバマ政権となった場合、この合意を前進させるために米国が日本と協力し、日本とさらに協議する可能性がありますか。また、そのほかにも沖縄の基地移転問題に関連する課題はありますか。
シーファー大使 私は、普天間の代替施設は、米国が日本と交渉してきた大きなパッケージの一部であると考えています。私たちは、これを米軍再編と呼んでいます。私たちは、日米同盟を新しく近代化することは非常に重要であると考えていますが、それには非常に多くの要素があります。この合意は、日本政府と交渉して取り決めました。当時、日本政府の指導者は小泉首相でした。その後、日本の首相が何人か変わったからといって、この合意がなくなったわけではありません。それと同じ原則が米国にも当てはまると思います。2つの主権国家の政府が、両政府にとって最大の利益となると考えた内容を交渉し、その実施のための措置を取ろうとしているのだと思います。そしてオバマ政権もこの方針を踏襲し、合意の実施を望むものと予測しています。もちろん、自らの政策を判断するのはそれぞれの政権ですが、こうした合意の成立時に誰が政府の指導者であったかにかかわらず、両国の相互利益のために合意を実行すべく努力する、と双方が言えるならば、両国は健全な状況にあると思います。
問 本日はこの機会を作っていただき、ありがとうございます。読売新聞の山口香子と申します。質問が2つあります。まず、大使はこれまでにオバマ氏と話をする機会があったかどうか伺いたいと思います。どのようなお話をされたのか、また、まだそうした機会がない場合は、今後その予定があるかどうかお聞きしたいと思います。日米同盟についてどのようなことをオバマ氏に話される予定ですか。もうひとつの質問として、大使はブッシュ政権の終了とともに辞任される意志を表明されていたと思いますが、それに変わりはないのでしょうか。
シーファー大使 こう言うと驚かれるかもしれませんが、私はオバマ上院議員とまだ話をしていません。オバマ議員には、私より先に話をする必要のある人たちが大勢いると思います。私にはその予定はありません。大統領はとても忙しいものです。次期大統領も非常に忙しいものです。オバマ次期大統領は政権をつくろうとしているところであり、それが彼のこれからの仕事になるはずです。私の今後についてですが、私の在任は大統領の意のままです。米国大使は、大統領の個人的な代理を務めるという点で、他とは多少異なる仕事です。ここ日本でブッシュ大統領の個人的な代理を務めることができたことは、私にとって光栄なことでした。私は日本とオーストラリアを合わせるともう8年間そのような仕事をしてきており、自分の義務は果たしたと考えています。そうした機会を与えられたことに感謝をしておりますが、そろそろ母国に帰りたいと思っています。ですから、1月20日に大統領の任期が終了すると同時に、私の大使としての任期も終了すると考えています。
問 こうした機会を作っていただき、ありがとうございます。私は日本の毎日新聞の和田と申します。選挙についてお聞きしたいと思います。大使は、昨日は米国の良心が声を上げたとおっしゃいました。私もほぼ同じ意見です。しかし、それよりもっと大きな声が投票所に行った有権者に影響を及ぼしており、それは米国の経済状況を懸念する声である、と言う人たちもいます。また、この状況は、大使の上司である現大統領の政策が原因である、と言う人たちもいます。そうした意見にどのように対応されますか。ありがとうございます。
シーファー大使 それは、私が今申し上げたことを証明するものだと思います。この選挙戦の行方を決定付けた問題は、人種や性別の問題ではなく、経済の問題、政治の問題でした。それが民主主義というものです。多くの人たちは、ブッシュ大統領について、私とは違う見方をしているのではないかと思いますが、それが民主主義というものです。そして昨夜は、記録的な数の米国民が投票所へ行き、これまでとは違う政党を選び、違う進路を選びました。それは、民主主義の理想を称賛するものであり、人々が政治市場で議論をし、討論をした上で決定を下すという過程の成果を表すものだと思います。私は、誰もがその成果に安心してよいと思います。全員の意見が一致しなかったかもしれないことは問題ではありません。重要なのは、皆がこれを実現したこと、1月20日には政権がひとつの政党から別の政党に移行するということ、そしてそれが、街に戦車が出動したり軍隊が派遣されたりした結果ではないということです。これが実現したのは、米国民が、政府を替える権利を行使したからです。それは注目すべき、素晴らしいことだと思います。昨日の出来事には、どの政党に属していようとも誰もが勇気付けられると思います。それは米国の本質を強化する出来事だったからです。
問 朝日新聞の丹内です。今月15日、ワシントンでG20金融サミットが開催され、世界各国の首脳がこの国際金融危機を克服するために話し合います。米国と日本は、世界第1位と第2位の経済大国としてサミットで協力し、場合によっては共同提案を行う計画がありますか。
シーファー大使 私の知る限り、現時点で、共同で何か提案するといったことについては話をしていませんが、両国政府は話し合いをしており、今後もこのサミットまでこれを続けます。このサミットは、重要な会合となるでしょう。主要20カ国・地域が一堂に会する機会となります。言うまでもなく、世界第1位と第2位の経済大国(である日本と米国)は、協調して行動するために他国と調整し、協力を取り付けるという点で大きく貢献できると思います。私たちが、極めて深刻な金融危機の真っただ中にいることに疑問の余地はありません。この危機が緩和されてきているように見える面もあり、パニックが収まりつつあるように見えると思います。とはいえ、今、困難な時期にあることは誰もが認めるところです。サミットに集まる主要20カ国・地域が協調して行動することができればできるほど、この危機による長期的な景気低迷を回避できる可能性が高まると思います。従って、米国民、そして米国の代表たちは、日本の意見に大きな関心を持っていると思います。それは、日本のバブルの経験、またその際の皆さんの対応から、多くを学ぶことができるからです。そして、私たちが、この2カ国の経済だけでなく世界の経済のために、力を合わせて前向きに前進できることを願っています。
問 琉球新報の与那嶺と申します。先ほどの米軍再編の話に戻りますが、大使のお話では、オバマ政権になっても現状が維持され、大きな変化はないということでした。昨日、太平洋軍司令部(PACOM)のキーティング司令官が、グアムへの移転費用が増加する見通しであり、そのために移転が2015年まで延期されるかもしれないと示唆しました。私は、普天間とグアムという2つの問題はパッケージと見なされている、あるいは連動すると見なされているものと理解しています。従って、普天間の移設も2015年まで延期される可能性がありますか。
シーファー大使 今おっしゃったPACOM司令官のコメントについて私は存じておりませんが、両国政府共に、グアムの施設が早く完成すれば、それだけ早く沖縄に駐留する海兵隊を縮小できる、と認識していると思います。こうした措置が取られ、この合意が成ったのは、第1期ブッシュ政権の初期に小泉首相がブッシュ大統領に、この戦域における有事に対応する米軍の能力を縮小することなく、沖縄に駐留する海兵隊または米軍の規模を縮小する方法を探してほしいと要請したからでした。それが長期に及んだこの交渉の発端であり、その要請は最終的に実現されました。これがパッケージであること、すべてが連動していることを忘れないでおくことが重要です。グアムの施設の準備ができ次第、海兵隊を沖縄からグアムへ移転させることにやぶさかではありませんが、準備ができるまでは移転できません。そのようなことをすれば、米軍がこの戦域でさまざまな有事に対応する能力が縮小されてしまうからです。日米どちらの政府も、それは望まないと思います。ですから、できればこの合意を実施し、実施に向けてできる限り迅速に動き、それが、最終的には、移転が延期された場合よりも品質に優れ、安価な施設の実現につながるようにしたいと思います。私は、グアムの施設の建設、または合意の実施を遅らせるような予算超過などの問題については聞いていません。さらに長期にわたり移転を延期するという考えは、どちらにとっても良い結果にならないと思います。
問 フランスRTL放送のジョエル・ルジャンドルと申します。フォーリン・アフェアーズ誌2007年7月・8月号に掲載されたオバマ氏の署名記事を大使がご存じかどうか分かりませんが、ひとつ2つ文章を引用させていただきますので、大使が状況に大きな変化はないとおっしゃった点について、ご意見を伺いたいと思います。「われわれは、アジアにおいて、2国間合意や不定期に行われるサミット、そして北朝鮮に関する6者協議のような特定の問題についての取り決めを超えた、より効果的な枠組みを築く努力をする。われわれは、東アジア諸国との間に、安定と繁栄を促進し、国境を越えた脅威への対処に役立つ包括的な構造基盤を必要としている」。既存の合意に関して政策の変更があるとしたら、大使はオバマ氏のこの言葉をどのように解釈されますか。
シーファー大使 繰り返しますが、私は次期政権に代わって意見を述べることは避けたいと思います。しかし、これは矛盾する内容ではないと思います。その記事は、アジアにおける多国間の取り組みの必要性について述べています。私たちもそのようなやり方を奨励しようとしてきたと思います。6者協議自体が、問題に対処する手段としてこれまでと異なります。アジアにおける米国の外交政策は、従来からヨーロッパにおける外交政策とは多少異なっています。ヨーロッパでは、北大西洋条約機構(NATO)のような機関を通じて、集団的な取り組みを行う傾向がありました。アジアでは、2国間同盟を基盤とする2国間の取り組みがより多く見られます。私たちが支持してきたのは…現政権、そしておそらく次期政権も同様の方針に従うと思いますが…多国間関係の存在は好ましいものであるということ、そして私たちの友好国・同盟国が、米国と話し合うと同時に、相互に話し合うのは好ましいことである、ということです。
日本へ着任したとき、私は、前駐オーストラリア大使として、米国とオーストラリアの間には独自の関係があり、米国と日本の間にも独自の関係がある、と述べました。そして私は、日本とオーストラリアの間にも同様に独自の関係があっても不思議はないと考えました。その結果、私たちが達成してきたことのひとつが、オーストラリア、日本、米国が集まって、さまざまな課題について話し合う3カ国間の戦略対話でした。6カ国による協議を実現したことは、ある問題に対して集団的な取り組み方法を提供したという点で、好ましいことだと思います。そして、いかなる政権も、それがマケイン政権であったとしても、またオバマ次期政権の場合でも、アジアにおいては、そのような多国間の取り組みを望んだだろうと私は考えています。それは誰にとってもプラスになることであり、またこれまで行ってきたことと大きく矛盾するものではないからです。
問 ダウジョーンズ・ニューズワイヤーズのアンドリュー・モナハンと申します。アナリストのほぼ一致した見方では、オバマ新大統領が就任する時期には、強い円が継続しているか、あるいはさらに円が強くなっているとされています。大使が、円・ドル相場に関するオバマ政権の姿勢を推測できないことは承知していますが、ブッシュ大統領の任期終了までのブッシュ政権の姿勢はどのようなものになるのか、教えていただけますか。
シーファー大使 私が日本へ来るための承認手続きにあったときの財務長官はジャック・スノーでしたが、彼を訪ねたときに私はこう言われました。「円やドルの価値について聞かれたら、とにかく、米国は強いドルを信じていると言って、詳しくはジャック・スノーに聞くように言ってください」。今のご質問については、お答えしないでおこうと思います。通貨の評価という微妙な問題の性質上、特に今は、引き続き強いドルを信じているという以外には、詳しいことはすべて米国財務省がコメントすべき立場にあると思います。そして、米国のどの政権もそういう立場を取ると思います。
問 NHKの田中です。オバマ氏はこれから政権移行チームを発足させますが、東京の米国大使館は政権移行チームに協力する予定ですか。大使は個人としてどのような役割を果たされる予定ですか。そして大使館はどのような役割を果たすのでしょうか。
シーファー大使 大変良い質問です。米国政府では、例えば議院内閣制とは多少異なり、移行期間が決まっているため、移行作業は、ひとつの政権が別の政権のためにすることの大きな部分を占めています。この過程は実際には今年の夏に始まっており、いかなる政権が誕生しても直面することになる問題について資料の作成を始めていました。これからその作業を加速させます。こうして作成した資料は、新政権と政権移行チームに渡される大きなパッケージの一部となります。すでに作成した資料については、もう移行チームが検討していると思います。これからさらに多くの資料が作成される予定であり、私たちは移行チームからのいかなる質問にも答える努力を続けます。私たちは、継ぎ目のない移行を望んでおり、ブッシュ大統領は昨日、継ぎ目のない移行が実現することを確約する、と語りました。
これは重要なことであり、党派心などが入り込むべきことではありません。皆さんも昨夜、マケイン上院議員の非常に潔いスピーチの中に、「選挙は終わった。これからは国内外における米国の立場を最良の形で提示し、国民を団結させるために、できる限りのことをしなければならない」という偽りのない信念を感じ取ったことと思います。米国の政治的な側面における癒しの過程が昨夜始まったと思います。そして、今後時間の経過とともに、私たちが共に直面する問題の基本的な要素に対処していくことになると思います。東京の米国大使館でも、世界各地のどの大使館でも、いかなる質問にもできる限り有用な答えを提供し、新政権にできる限り多くの情報を提供できるよう準備していると思います。
問 日米関係の重要性を考慮して、また大使のおっしゃった継ぎ目のない移行のために、麻生首相はG20サミットでワシントンを訪問する際に、オバマ次期大統領と会見すべきだとお考えになりますか。
シーファー大使 従来、次期大統領はそういうことを避けようとしますが、その理由は簡単です。まだスタッフがいないからであり、そして国家の首脳と会見するために必要な準備が整っていないからです。もちろん、その決定を下すのは次期大統領ですが、同時に2人の大統領はいない、というのが米国の伝統だと思います。そして、現大統領は1月20日正午まで大統領を務め、その時点で新しい大統領が任務を受け継ぎます。従来、次期大統領は、共和党、民主党を問わず、特に外国政府首脳との会談に関して、時期尚早な行動を取ることに非常に消極的です。いかなる混乱も好ましくないためです。そして、混乱を避けようとする理由はたくさんあります。例えば、現在続いている経済危機がありますが、安全保障上の考慮もあります。世界各国との間で負っている米国の同盟関係上の義務があります。誰もが、その時点で誰が大統領であるのかを認識しなければならず、従来、次期大統領が就任前に外国政府首脳とかかわりを持つことに非常に慎重であるのは、そのためだと思います。
ありがとうございました。


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