Embassy seal
U.S. Dept. of State
flag graphic
 


*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。質疑応答部分の質問は、日本語の発言は、その英語通訳を、英語の発言はその英語を日本語に翻訳しています。

日本記者クラブにおけるリチャード・A・バウチャー国務次官補(南・中央アジア担当)のブリーフィングおよび記者会見

2008年8月8日

バウチャー国務次官補 中井さん、ありがとうございます。日本記者クラブにお招きいただいたことに感謝します。ここは本当に素晴らしい施設です。皆さんにお目にかかれて、とてもうれしく思います。今回は、コロンボで開催された南アジア地域協力連合の会議からの帰途、24時間と短い時間ですが日本に立ち寄っています。私は、南アジアと中央アジア、つまりインドからカザフスタンまでの地域を担当しています。そして、日本との連携は、米国がこの地域で行っていることの重要な部分を占めてきたと感じています。米国は、さまざまなレベルで定期的に調整を行っています。私の上司であるブッシュ大統領は、言うまでもなく、G8首脳会議出席のために日本を訪問し、南・中央アジアに関する問題について日本政府高官とさまざまな議論をしました。同じく上司である国務長官は、日本の外務大臣やほかのレベルの方々と頻繁に会談しています。従って、米国は、南・中央アジアの問題について、十分な対話を日本と定期的に行っていると思います。私たちはまた、私のレベルや専門家レベルで、非常に具体的に政策の整合性を図る機会を持っています。こうしたことが、両国の活動に真に貢献していると思います。

 私は、この地域、特にパキスタン、アフガニスタン、インドで起きているさまざまな問題を検討するために、外務省や内閣官房とかなり詳細な協議を行うことができました。まず、それについてお話したいと思います。その後で、ご質問をお受けします。

 パキスタンに関しては、私たちは皆、安定と民主的機会の実現に関心を持っています。私たちは、社会を発展させようとするパキスタンの努力を支援したいと考えていますが、それだけではなく、統治制度をつくり上げようとする努力も支援して、パキスタンの人々がテロの問題を理解できるようにしたいと思っています。10日程前にワシントンで行ったパキスタンのギラニ首相との会談、および米国がパキスタンの発展のために行っている活動について、日本の担当者にお話しすることができました。日本政府からは、パキスタンの発展と安定に向けた彼らの取り組みについてお話を伺いました。

 アフガニスタンでも日米は協力しています。両国は協力して、ほかの国々と共にアフガニスタン支援国際会合(パリ会合)に出席し、アフガニスタンへのさらなる支援を約束しました。アフガニスタンは開発を大いに必要とし、開発機関を必要とする国であるため、私たちの仕事は長期にわたると思います。しかし、アフガニスタンは、米国、日本、そしておそらくほかの国々が、安定の必要性やその地域で始まったテロ問題を終結させる必要性だけでなく、この国が南アジアと中央アジアとの橋渡し役を務める戦略的機会を開拓する必要性を認識している国だと思います。

 基本的に、私たちが集中して取り組むべき今年の課題は、地方自治の拡大だと思います。アフガニスタンでの米国の活動についてですが、北大西洋条約機構(NATO)ブカレスト首脳会合やパリ会合を通じて、また国連と共に、もっとうまく資源を調整し活動を協調させるために懸命に努力してきました。しかし、そうした努力の多くは、アフガニスタンの州や地方レベルへの治安、安定、公共サービス、医療、そして経済的機会の波及に向けられています。そのプロセスは進行中で、タリバンの妨害工作にもかかわらず、実際にはかなり着実かつ順調に進行しています。このプロセスを通じて、アフガニスタンは安定を実現するでしょう。いくつかの点で、これは、統治を国中に拡大するという、隣国パキスタンの取り組みに酷似しています。その努力は、私たちが望む結果をもたらすでしょう。アフガニスタン国民や、隣国パキスタンの国民に、生活の中で彼らが求めている安心感や機会が与えられているという意識をもたらすでしょう。

 インドについてもいろいろな話をしました。米国が取り組んできたインドとの民生用原子力協力構想について、そして現在ほかの国の政府とどのように協力しているか、ということについても議論しました。まず、ウィーンの国際原子力機関では、保障措置協定の問題を前進させる合意をすることができました。現在は、米国は原子力供給国グループ参加国と協力し、対話をしています。従って、原子力供給国グループの協議グループ会合が近づく中、米国は、主要各国から意見を聞き、主要各国と協議するよう努めてきました。そして、日本はもちろん主要国のひとつです。それ故、協定の核不拡散の側面とインドとの協力の両方について、(日本と)さまざまな議論を行うことができたことをうれしく思いました。私は、国際的な不拡散の取り組みにインドを参加させることが重要であると考えています。日米はまた、より広い視野で見た米印関係について、この2国間関係がどのように改善し変化しているか、そして、この協定がこの状況にどのように適合するかについても議論しました。

 従って、提起したい疑問点や問題点が日本側に出てくることは理解しています。こうしたことは議論すべき重要な点だと思います。しかし、このような提起される問題点や疑問点には、しっかりとした、確固たる回答を出すことができるとも思います。なぜなら、この協定は、結果的に核不拡散に貢献するからです。インドの経済発展のためのクリーン・エネルギーの普及に貢献し、世界の国々とのインドの関係に貢献するからです。ですから、それは良いことだと考えます。人々がこの問題について、原子力供給国グループの中で話し合い、合意に至ることを願っています。

 この地域では、実にさまざまな事が起きています。コロンボでの南アジア会合では、会場内だけでなく、会場外の会合においても、私は日本政府高官と連携することができました。米国は、インド、パキスタン、アフガニスタンと会合を持ちました。南アジアは今、非常に活気に満ちた地域です。それは基本的には素晴らしいことです。ですから私は、日本との協力を歓迎します。両国は共に、この地域での平和と安定に重要な貢献をすると思っており、最終日に日本政府高官と過ごすことができてうれしく思いました。

 私の話はこのくらいで終わることにし、質問をお受けしたいと思います。

 まず最初にひとつ質問します。アフガニスタンに関して、日本はインド洋で給油活動を行っていますが、日本政府は自衛隊をアフガニスタン本土に派遣することも検討しています。この可能性について、どのようにお考えですか。米国政府の立場から、自衛隊のアフガニスタン本土への派遣をどう思われますか。

バウチャー次官補 これは、日本政府への良い質問だと思います。自衛隊派遣についてどう思うかは、日本政府に聞いてください。私たちは、アフガニスタンには行わなければならない重要な仕事が山積していることを明確にしようとしてきました。貢献している人はすべて、共通の利害を促進し、皆の安全と治安の確保を促していると思います。寄付であれ、パリ会合で発表した資金援助であれ、日本が行っているリングロード(環状道路)の復旧活動やアフガニスタンでのその他の活動であれ、すべてが重要な貢献です。米国は貢献を増やし、活動を拡大しようとしていますが、米国の同盟国や友好国にも同じことをしてほしいと願っています。各国がどのように取り組み、何ができるかは、自国の政治状況や制度に応じて各国が決めることです。ですから、自衛隊を何らかの役割でアフガニスタンに派遣するか、あるいはほかの役割を引き受けるか、という具体的な問題については、誰よりもまず日本政府が考えるべきだと思います。しかし、先ほど申し上げたように、同盟国や友好国が自ら進んでアフガニスタンで新たな役割を担おうとするならば、米国はこれを歓迎します。それが誰にとっても重要と考えるからです。

 日本経済新聞の森安です。インド、パキスタン地域に関する質問ではなく、イランに関する議論について国務省高官としてのご意見をお聞かせください。ウィリアム・バーンズ国務次官が上院で、イランはメディアが報道するほど大きな脅威ではないので、国務省はイランにどう対処するかという問題を次の政権に引き継ぐ準備をしている、と陳述しました。これは対イラン強硬派の意見とはかなりかけ離れているようです。国務省内でどのような議論が展開されているのですか。またバーンズ氏が説明したイランに対する姿勢は、米国政府内の合意に基づくものですか。

バウチャー次官補 この件に関する国務省での議論は、私とは全く関係ないところで行われていると言わざるを得ません。イラン問題に直接関与していません。ですからこの質問に答えるのはあまり気が進みません。米国は、イランに関しては、明確で確固たる態度を取る必要がある、とはっきり言ってきたと思います。私は、イランがアフガニスタンに及ぼす影響に取り組んでいます。例えば、米国がイランの行為を懸念しているとき、それは彼らがさまざまな矛盾したことをしているように見えるからです。政府を支持しているように見えるかと思えば、野党に資金を提供したり、タリバンに武器を送っているようにさえ見えます。アフガニスタンに関しては、時に、イランの政策が分からなくなることがあります。彼らが、あらゆる方面と関係を保ち、リスクを分散しようとしていない限り、彼らは明確な政策を持っていないように見えます。ですから、米国はイランに対し、普通の国のように振る舞い、政府を支持し、私たちが行っているように組織的に国民と協力するよう求めています。すなわち、あるグループにはタリバンに武器を送らせながら、別のグループには政府への支持を表明させるといったことをせず、国連を通じて調整するように求めています。ある意味では、これが、米国がイランに求めていることです。イランは、核兵器の追求や中東の不安定化など、さまざまな、私たちを悩ませる行動をいまだにに取り続けています。そのような行動は国際的な規範に沿っていません。国際社会はこの点を明確に理解する必要があると思います。しかし先ほど申し上げましたように、この問題についてどうすべきかという議論は、いかなる時にも国務省のさまざまなレベルや場所で行われています。

 テレビ朝日の鈴木です。以前ワシントン支局長を務めていました。今週初め、高村外務大臣がニューデリーを訪問し、インド外相やその他の政府高官と会談しました。高村大臣は、米印原子力協力協定に対する懸念を表明し、インドが核拡散防止条約(NPT)と包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名することをまだ期待していると述べました。日米の政策面での連携という観点から、米国は、高村大臣の懸念と期待を共有していますか。米国との交渉の過程で、インド政府は、核実験をしないことを断言しましたか。原子力供給国グループの一員である日本が、インドを例外扱いすることに同意すると期待していますか。

バウチャー次官補 最後の質問からお答えします。米国は、参加国すべてがインドを例外扱いすることに合意してくれるよう願ってます。現政権下だけでなく、米国の前政権、そしてインドの前政権下においても、両国は長年にわたり協議を続けてきました。また、10年、12年前には、別の政権の下でかなりの進展が見られました。この間の議論に関する本や声明を読むことができます。多くの人々が望むように、私たちの多くもインドがNPTやほかの国際協定に調印することを望んでいることは明らかだと思います。しかし、現実には、インドは何年にもわたり、これを拒否しています。インドの政策の路線から見ると、それが実現することはないでしょう。少なくとも、すぐに実現することはないでしょう。

 私たちは、常に望みを抱き、常に願いを語ることができますが、その一方で私たちが今、考えなければならない問題は、NPTの枠組みの中での私たちの行動とNPTの外でのインドの行動をより合致させるには、どうすれば一番良いかということです。だからこそ、米国は、この協定を推進し、インドに前向きに対処する実践的な方法を見つけ、インドの核開発計画の大部分を保障措置の対象とする実践的な方法を見つけ、不拡散の問題でインドと協力する実践的な方法を見つけ、そしてインドの経済発展のためにクリーン・エネルギーを提供する実践的方法を見つける決断をしたのです。このようにして、両国は合意に至りました。それ故、私たちは、公表された声明にこの協定を結ぶことの根拠を記載しました。それこそ私たちすべてが前進させたいと願っていることだと思います。先ほど申しましたように、この協定は普通とは違います。標準的な方法ではありませんし、標準的な文章ではありません。NPTの標準的な参加国になるわけではありません。過去のやり方とは違います。ですから、疑問点や問題点が提起されるであろうことは理解しています。人々はこの協定について議論したいと思っていますし、私たちは喜んで議論します。この協定は米国にとっても新しいものです。米国はこのプロセスを終えましたが、米国にとって重要なのは、この協定が、私たち皆が求める協力を得る手段だということです。私たち皆が求める不拡散活動への支持を得る手段だということです。

 米国は、自国が批准していないCTBTに調印するよう、具体的にインドに求めましたか。

バウチャー次官補 さらに過去の議論に戻らなければなりません。確か、クリントン政権での議論の一部だったと思います。上院などの条約に対する反応を考えると、最近の議論の結果ではないと思います。しかし、ほかの多くの国はこの条約に調印し、インドは、調印はあり得ないという立場を非常に明確に打ち出してきました。しかしここでも、本当の意味での協力を得る方法についてお話しましょう。インドは、核実験を一時停止しています。米国はこれを支持し、歓迎し、その継続を期待することを表明しています。私たちは、共同声明でこれを表明しましたし、公の証言でも表明しました。米国にとってこれは、この問題を、この問題の本質を前進させるためのひとつの手段です。

 ブルームバーグ・ニュースのスチュアート・ビックスです。パキスタンのムシャラフ大統領が弾劾されるのではないかといううわさがあり、明らかにこのうわさが高まっています。大統領が弾劾された場合、第一にこの地域での米国と連合軍のテロとの戦いに、そして第二に、今お話があったパキスタンの統治制度の発展や国内統治の拡大にとってどの程度障害になると思いますか。

バウチャー次官補 パキスタンは今、非常に多くの深刻な問題に直面していると思います。そして米国は、まずテロ、食糧問題、エネルギーや経済といった本質的な問題に重点的に取り組むことが最善の方策であると思うと、明確に伝えようとしてきました。米国は、パキスタンがこういった問題に対処する手助けをしてきました。パキスタン首相が訪米したとき、両国は、テロとの戦いでの協力について多くの話し合いを持ちました。米国は、1億1500万ドルの食糧・農業支援を発表しました。米国は、パキスタンが深刻な問題に取り組む手助けをしようと努めています。指導者たちがお互いにどう対処するか、各政党がお互いにどう対処するか、そしてさまざまな政党や政治家がムシャラフ大統領に対しどのような態度を取るのか、といったイスラマバードの政治問題は、パキスタンの国内政治の問題です。どのようなことが起きようとも、それが憲法にのっとったものであり、法の支配に沿うものであることを期待しています。しかし同様に、パキスタンが安全、治安、そして経済の問題に取り組むことを期待しています。これらは、事態が進展する中で、私たちが引き続き大いに注目しなければならない問題だと思います。米国は、注意深く見守っていくつもりですが、非常に深刻なこれらの問題に関して本質的な行動と協力も推し進めていきます。また、政府がほかの政治分野に気を奪われることがないようにしていただきたいです。

 ありがとうございます(聞き取り不能)。今おっしゃったテロとの戦いにおける進展という観点から、アフガニスタンの現状をどのように説明しますか。軍隊でテロと戦うことはできない、別のプログラムで戦う必要があり、またテロとの戦いは世界中でより多くのテロを生み出してきただけである、という趣旨の報道が中東で多く見受けられます。これについてどう思われますか。

バウチャー次官補 私は、軍隊については話しませんでしたよね。私が述べたことは、アフガニスタン国民に機会を与えるということです。医療や教育をアフガニスタン国民に提供するということです。今はアフガニスタン政府が国民に医療を提供できるようになったため、毎年8万5000人の子供が5歳の誕生日を迎えることができるようになりました。タリバンやその他の政権下の時代なら、8万5000人の子供が5歳までに死んでいたでしょう。私たちがしていることは、各家庭が、子供たちが健康に成長する様子や教育を受ける様子を見ることができ、新しい道路や電力といった経済的機会を得ることができ、また家庭内や日常生活において安全を感じることができるようにするためだと思います。私たちがアフガニスタンの各家庭や国民のためにそういった努力をすることによって、アフガニスタンに安定をもたらすことができます。

 軍事活動はその一部ですが、ほんの一部にすぎません。権力を取り戻そうとしている人たちや、死と破壊をもたらそうとしている人たちがいます。私たちは、そういった人々を止めなければなりません。米国が大規模な軍隊を維持しているのはそのためです。米国は、同盟国や友好国と共に、必要な軍事行動を行う用意があります。アフガニスタン軍は、国内各地で治安を維持する能力を高めています。私たちの活動の多く、私たちが新たに拠出した資金の多くが、軍隊や警官の訓練に向けられています。

 昨年、タリバンは領土を奪い取ろうとしました。町を占領しようとしましたが、その試みは失敗に終わりました。今年は別の戦術を取っています。物を破壊し、自爆してほかの人々を殺し、道路に爆弾を仕掛けるといったテロ戦術です。タリバンは、カンダハルのホテルや刑務所への攻撃など、こうした攻撃を行っています。こうした行為は人々を不安にさせます。それがテロです。けれども、私たちが、安全、治安、機会に関してアフガニスタン国民が必要とするものを与えることができれば、実はこのような戦術に対抗できると思います。実はこの国を安定させることができます。今年の状況を言えば、米国は新たな地域を掌握し、アフガニスタン政府も新たな地域を掌握しつつあります。そして、私たちは新たな地域に安定をもたらしつつあると思います。私たちの課題は、十分に連携して、アフガニスタン全土でより包括的にこれを行うことです。しかし、タリバンのテロ行為にもかかわらず、統治の拡大の基本的な側面は進展していると思います。

 時事通信の石井です。私の質問はスリランカ、スリランカ政府とタミルイーラム解放の虎(LTTE)についてです。和平合意は崩壊し、暴力行為が多発しています。この国では国際支援はうまく機能せず、和平プロセスはうまくいっていません。国際社会にできることは何かありますか。米国は何か計画していますか。

バウチャー次官補 非常に良い質問です。その点は冒頭の発言で触れなかった問題なので、質問していただいてうれしく思います。米国は、日本と緊密に連携しています。そして私たちが努力を続けていくことがいかに重要かを認識していると思います。私は、「スリランカ復興開発に関する東京会議」4共同議長会合で日本政府代表を務める明石康氏とお話しして、意見を調整しました。現時点では、私たちの考え方が非常に似ていることが分かっています。第1に、人権の尊重を向上させ、人々の生活、特に東部そして新しく解放された地域の人々の生活を改善して、スリランカに安定と発展をもたらすことに重点を置きます。

 第2に、政治的空間を…和平プロセスを前進させるために政治的空間を開放することに重点を置きます。おっしゃるように、多くの戦闘が起こっているため、今それを実現することは難しくなっていますが、政治制度を少し開放する必要があると思います。政治制度においてタミル人の権利を十分に認める必要がありますし、同様に、イスラム教徒のような他の少数民族の権利も認めなければなりません。政治的解決策に向けての道が開かれる必要があります。軍事的手段だけではこの問題を終わらせ、解決することができないからです。最終的には政治的取り決めが必要であり、その道を開く必要があります。

 ですから米国は、今後もその方向に進んで行きます。日本、欧州連合、そして共同議長のリーダーであるノルウェーと共に、今後もその方向に進むと確信しています。私たちは緊密に連絡を取り合っていますが、今年に入って状況がかなり難しくなってきたと思います。それでも、私たちが努力をやめることはありません。

 日本経済新聞の伊奈です。バウチャー大使の経歴を拝見したところ、大使は国務省の報道官あるいは副報道官として、6人の国務長官の下で働いたとあります。私も、ベーカー国務長官の時に大使が行った記者会見に出席しました。6人の国務長官の中で、最も仕事がしやすかった長官、そして最も仕事がしづらかった長官はどなたですか。どのような特徴がありましたか。優れた報道官であれば、私の質問を避けようとすることなく率直にお答えいただけると思います。ありがとうございます。

バウチャー次官補 あなたは自分の上司の中で誰が一番好きですか。私は、いろいろな国務長官の下で働くことができて光栄でした。米国では間もなく政権が変わり、また別の上司の下で働くことになりそうです。私は常に、比較しないことを信条にしています。誰もが何らかの形で難局にうまく対処し、その時どきの問題に取り組んでいると思います。覚えていらっしゃると思いますが、1980年代末から1990年代初期にかけて、私たちは、ボスニア問題、中国の問題、そしてソ連の崩壊に対応しなければなりませんでした。歴史的に重要な時代でした。政府の報道官であっても、ジャーナリストであっても、対処すべき重要な問題が多数あったと思います。同時多発テロ以来、同じことが起きているように思います。対処すべき重要な問題がたくさんあります。

 歴代の国務長官に関しては、私が引退して本を書けるようになったときに、もっと深く考えることになると思いますが、今は、彼らは皆この国にとって非常に重要な指導者であり、(彼らの下で働けたことは)私にとって喜びでした。私は、それぞれの長官から多くのことを学びました。世界中を訪れてさまざまなものを見る機会を持てたこと、すべてのことを同時に考えなければならない立場にある人間の観点から、いくつかの重大な歴史的瞬間を理解しようとする機会が与えられたことをとても感謝しています。今、私が言えることは、それぞれの長官を称賛しているということだけです。

 共同通信の小西です。インドとの原子力協力協定についてお尋ねします。原子力供給国グループ会合の開催場所や時期は決まりましたか。協定を発効させるには、米国連邦議会の承認が必要ですか。ブッシュ大統領の任期が切れる前に発効させることは可能でしょうか。以上2つの質問です。

バウチャー次官補 2つとも良い質問です。(会合の場所や時期について)私が発表して構わないかどうか、分かりません。議長が発表することになると思いますし、すでに発表されているかどうかも、私は知りません。原子力供給国グループは、おそらく8月中に会合を開くことになる、ということだけお伝えしておきましょう。私たちは集まって話し合いを始めます。簡単に合意できれば、おそらく議論を終了することができますが、さらにもう一度会合を開く必要があるかもしれません。

 先ほど申し上げましが、たくさんの重要な問題点があります。私たちは、こうした問題点や疑問点を認識しています。私が日本で提起される疑問点に耳を傾けてきたように、米国は、他国の政府の声を聞いて、できる限り適切な答えを返すように努めています。米国は今月、ほかの原子力供給国と、より徹底した話し合いをする予定です。たて込んだ日程になっています。米国内でこれをやり遂げようとしています。2005年7月の最初の声明以降、この問題に取り組んでもう2~3年になります。ですから、やるべきことがたくさんありました。まず、米国連邦議会が審議を行うのを待ち、次にインド議会がインドの政治制度における多くの問題を解決してくれるのを待たなければなりませんでした。この協定は、2つの民主主義国の間の合意であり、お互いの民主主義を尊重しなければなりません。インドが米国に対し、前進する用意があると伝えてきた今、米国はできるだけ早く行動を起し、できるだけ前に進める決意を固めています。この取り組みにおいては、ほかのパートナー諸国が理解を示してくれることが必要です。米国はインドの保障措置協定について、国際原子力機関で迅速に検討していただくことをお願いし、それがかないました。米国は、原子力供給国グループでこの協定をすぐに綿密に検討するように、また迅速に動くようお願いしています。米国は、そうなるよう願っています。その後、米国連邦議会で議員に説明しなければなりません。これは難しいことです。連邦議会は、実際にはそれを実行するだけの十分な時間がないと思われるような手続きを定めました。期限を30日に設けましたが、会期は18日、いえ19日間しかありません。ですから、私たちは、連邦議会で事態が同進展するか見守らなければなりません。しかし、連邦議会で協定を審議してもらうことができれば、私たちはこの問題をどう前進させるかについて、連邦議員と緊密に話し合っていきます。

 ひとつ良いことを挙げるとすれば、原子力協力協定が最初に連邦議会に送られ、ハイド法が成立したとき、この協定は共和党からも民主党からも強く支持されました。本当に超党派的な支持でした。いずれの大統領候補も、この協定に賛成票を投じたと思うので、この協定を支持する議員は民主党にも共和党にもいます。ですから、その時が来たら、原子力供給国との作業が終わったならば、連邦議会が協定成立のために協力してくれることを願っています。そうなると約束することはできません。ただ努力を続けるだけです。

 産経新聞の田北です。もし米印原子力協力協定が成立した場合、パキスタンとの関係についても、道を開くような効果はありますか。一部の報道によると、米国は協定に反対するパキスタンに対して、将来的には同国とも交渉を始めるつもりだ、と言ってパキスタンを説得したと、前回の原子力供給国グループの会合で語ったそうです。しかし、パキスタンは今、政治的に不安定で、核不拡散について疑問もあります。この点についてのパキスタンとの関係に関して、米国政府の見通しを教えてください。

バウチャー次官補 必ずしもパキスタンに機会を与えることにはならないと思います。それはパキスタン次第という部分が大きく、また今後数年間の情勢にもよります。この取り決めは、インドの特殊な状況に照らして決定した、インド固有の協定です。インドには、長年にわたり不拡散や輸出規制に取り組み、そしてこの件について責任ある国際的行動を取ってきた、極めて堅固な実績があります。ですから、この協定は、ほかの国にも使える、ある種の手本やモデルとしてではなく、インドの場合にしか機能しない協定とみなされました。インドとだけ結ぶ協定として、米国はこれを推し進めています。そのほかのことについて話すのは単なる推測にすぎないと思います。この協定は、その他の目的のために用意されたものでないことは確かです。

 毎日新聞の飯島です。中央アジアについて伺いたいことがあります。上海協力機構の首脳会談が間もなく開かれます。これまでのところ、上海協力機構の動きや活動についてどのようにお考えですか。米国はこうした動きにどう対応するつもりですか?

バウチャー次官補 ありがとうございます。今日ここで、中央アジアについて非常に有益で、かなり詳細な議論を行ってきたと思います。そして、私たちの意見がかなり一致している、この地域の重要な課題をいくつか見てきました。例えば、新たなルートを開くこと、エネルギーを取引し、意見を交換し、貿易を行う、パキスタンやアフガニスタンを通ってペルシャ湾に至る南北のルートを開くこと、投資機会を検討して、より良い投資環境を構築すること、そしてこの地域のいくつかの問題、例えば、水の問題や水の利用の問題、そして米国、日本、ヨーロッパ、アジア開発銀行などの部外者が、中央アジアの人々が抱える問題の解決をどのように手助けできるかを検討することです。これはとても素晴らしいことで、中央アジアに関するこうした議論を続けていこうと思います。

 上海協力機構は、この地域の国々と一部の隣国の組織です。この点について、何の問題もありません。米国は、この地域の人々が、特にロシアや中国、またアフガニスタンやインドのような隣国と違う関係を持とうとしていることを理解しています。しかし、米国が重視しているのは、引き続きこの地域の国々であり、これら諸国が何を望んでいるかということです。これらの国々は、どのように発展したいと考えているのか。どのように国を安定させ、あるいは、どのように自分たちの独立や主権を確立するのか、ということです。ですから、私たちは、この観点から上海協力機構を見てきました。この機構は、国境警備、経済交流、そしてテロや麻薬との戦いにおいて重要な貢献をしてきていると思います。これらの分野で活動を続けることは構いません。何の問題もありません。私たちが協力する方法はほかにありますが、どのように協力したいのかを決めるのはこの地域の国々です。

 数年前に、米国にとってあまり好ましくない政治的発言がありました。私たちはこれを大国の小国いじめの事例ではなかろうか、と考えました。これが地域の国々を助けたり、その独立や主権の確立に役立つとは思わなかったので、米国は批判しました。私たちの考えをすべての関係者に伝えました。しかし、最近は、上海協力機構の関心は、経済、国境、テロ問題に移っているようです。この点で同機構が貢献しているのは好ましいことです。まもなく開かれる会合でも同じように貢献してくれることを期待しています。

 NHKの市原です。アフガニスタンの復興支援について、各国がどのような貢献をするかは、それぞれの国が決めることだとおっしゃいました。インド洋では、日本が給油活動を行っています。しかし、現行の新テロ対策特別措置法(特措法)の期限が切れた後は活動の継続が難しくなります。特措法の期限切れ後について、米国はどのような懸念をお持ちでしょうか。今回の訪日で、日本政府に給油活動の継続を働きかけましたか。

バウチャー次官補 特に給油活動について話すために日本に立ち寄ったのではありません。何よりもまず、米国の現在の活動についてお話しするために日本に来たのです。米国は活動を強化しています。米軍の軍事活動を強化しています。アフガニスタンの治安部隊を訓練し、装備を提供する活動を強化し、特に、治安部隊が任務を遂行できるよう長期支援を行うことを検討しています。統治を州に拡大し、州知事が州の発展を担うことを支援し、麻薬と戦う活動を強化しています。こうした活動を、他国へのお手本として示しているのです。米国は、支援を減らすのではなく、どうすればさらに多くの支援ができるかを考えるよう、ほかの国にお願いしています。ですから、申し上げましたように、これに関する具体的な点に関しましては、日本政府が決めることです。しかし、結局のところ、この地域全体で活動の強化が必要だと米国は考えます。私たちは、アフガニスタンがどのように発展していくかを見てきましたが、まだ断片的あるいは部分的であり、州ごとに、または地区ごとの発展にとどまっています。ですから国全体で発展が見られるように活動を拡大して、人々が必要とするものを提供するために役立つ統治のネットワークを構築しなければなりません。この点についてはここでとどめ、詳しく分析しないことにしたいと思います。

 ありがとうございました。