
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
「変化する世界における安全保障の代価」
2008年5月20日
日本外国特派員協会のお招きを受けることを、いつも大変光栄に思っています。ここでお話しさせていただく機会を、私は楽しみにしています。というのも、長年にわたり、非常に多くの著名な方々が、この場で、日本が直面するいくつかの重要な問題を取り上げてきたからです。本日は私もそれに倣い、とても重要な問題について、皆さんと考えたいと思います。それは「変化する世界における安全保障の代価」という問題です。特に、日米両国が将来の安全保障上のニーズに対応するための財政負担について、皆さんと議論したいと思っています。
まず、これを申し上げておきます。通常兵器によるものであろうと、核兵器によるものであろうと、米国と直接対決して勝者となることが想定できる仮想敵は地球上に存在しません。これは、米国が戦場で敵の攻略にてこずったり、敗北したりすることはない、という意味ではありません。イラクやベトナムでの教訓は、通常兵器と核兵器の両面で優位に立っていても、必ずしも勝利が保証されるとは限らない、ということを痛みを伴って思い出させてくれます。しかし、総じて米軍は、世界のどんな通常兵力にも打ち勝つだけの十分な火力を有しています。
核兵器に関して言えば、米国に先制攻撃を仕掛けて勝利することができる、あるいは現実的に見て、受け入れ難い損失を被ることなしに報復を逃れることが可能であると信じることができる仮想敵は全く存在しないということを確実にするだけの十分な能力が米軍にはあります。米軍のこうした能力は、一言で言えば「技術力」のたまものです。米軍の兵器は世界で最も洗練され、最も殺傷力があり、そして最も効果的です。米国は、世界中のいかなる国にも勝る金額を軍事面の研究開発分野に投資してきており、そのおかげで米国は圧倒的な優位に立っています。
その結果、戦争の仕方が革命的に変わりました。デービッド・ハルバースタムは、その興味深い著書「静かなる戦争-アメリカの栄光と挫折(War in a Time of Peace)」の中で、精密誘導兵器が戦場にもたらした効果について書いています。第2次世界大戦が始まったころは、米国の爆撃機は、投下した爆弾が直径20マイルの円内に着弾すれば「目標に的中」とみなしていました。今日の兵器は6フィート未満の円内に着弾可能な精度を有しています。つまり、弾薬がどの窓を貫通するようにしたいかを決めることが、実際に可能です。
これにより、米軍は破壊を少なくし、より多くを保全することが可能になっています。今では、公益設備や上下水道などは、戦後の復興に備えて保全できるように、完全に破壊せず、事実上機能しないようにすることが可能となっています。これは、敵の戦争能力を失わせるのではなく、完全に破壊しなければならなかった古い軍事的枠組みに比べて、非常に大きな利点です。また、近代兵器は、正確な目標攻撃能力で2次的な被害を減らすことができるため、民間人にとっての戦争の危険性を低下させることも可能です。でも、誤解しないでください。それでも戦争は是が非でも避けるべき恐ろしいものです。戦争は最後の手段であるべきです。しかし、現代の戦争は以前と比べ効率性と精密さに優れ、より技術的になり、そして兵器はより殺傷力が高くなっています。また、こうしたあらゆる技術には多大な費用がかかるため、戦争はより高くつくものにもなっています。
今年に入り、米国のB-2爆撃機が墜落事故を起こしています。この航空機1機だけで、製造に約12億ドルかかりました。米国のミサイル防衛力の一部であるSM-3ミサイル発射能力を有する米国のイージス艦を1隻建造するには12億ドル以上かかります。今年の夏に日本に配備予定の米国空母ジョージ・ワシントンの場合には約50億ドルでしたが、この数字には同艦を発着する艦載機の製造にかかる10億ドル以上の費用は含まれておりません。ジョージ・ワシントンとその艦載機を合わせた費用の総額は60億ドルを超え、現在の日本の防衛予算総額の15%に近づいています。2012年に進水予定のフォード級新型空母は、建造費が80億ドルから110億ドルと見積もられており、現在の日本の防衛予算総額の4分の1を超える可能性があります。これらは驚くべき数字です。
これらの数字は、軍の指導者にも文民の指導者にも一様に、ひとつの課題を提示しています。それは、こうした軍備のおかげで国が戦場で優位に立つことができる一方で、これらの軍備が、国民、とりわけ政府を選挙で選出する国民が要求する水準のサービスを実現する政府の能力に大きな影響を及ぼすこともあり得る、ということです。要求されるかもしれないものと必要なものとの間でうまく折り合いをつけることは、簡単ではありません。
米国であれ、日本であれ、ほかの国であれ、政府は今後、以前よりも高性能である反面、より多くの費用がかかる兵器システムのための予算確保に苦心することになります。どの国も、米国でさえ、利用可能な兵器システムをすべて調達できる余裕はないため、誰もが困難な選択を迫られることになります。
かつて、ダグラス・マッカーサー元帥が、ウエストポイントの米国陸軍士官学校の士官候補生に、彼らの任務は単純なものであり、「(中略)戦争に勝つことだ」と説いた話は有名です。そうした単純なことが今日ほど高くつく時代は、これまでありませんでした。今日の近代的な軍隊は、戦闘行動の戦略のみならず軍備の経済性においても卓越していなければなりません。
国の繁栄が国防予算の増加につながる可能性があることは、歴史が教えているところです。ここアジアにおいては、今まさにこうした現象の影響が実感され始めています。
過去10年間の中国の年間経済成長率は平均9.3%です。しかし、同じ期間に、中国の軍事費は年平均で14.2%増加しました。中国の会計処理は非常に不透明なため、その14.2%という数字さえも、実際より低く報告されている可能性があります。また、軍事費の増大は中国だけの話ではありません。
朝鮮半島では、同じ10年間で、韓国の国内総生産(GDP)が2500億ドル以上増えています。同国の軍事予算は、同じ期間に73%増加しました。ロシアも、欧州やアジアで、軍事大国としての存在を再び主張しています。主に石油と天然ガスの産出による増収の結果、昨年の2月8日、当時のイワノフ・ロシア国防相は、1890億ドル規模のロシア軍総点検・近代化計画を発表しました。
米国の国防費もまた劇的な水準で増加し続けています。米国経済は1998年から2007年にかけて約2兆5000億ドル成長しましたが、米国の国防予算は2倍近くに増加しました。1998年に2520億ドルだった米国の国防費は、昨年4810億ドルとなりました。この中にはアフガニスタンやイラクでの作戦に使った1420億ドルは含まれていません。
北東アジア各国の国防費増大が続く中で、日本だけが例外です。日本の現在の防衛費は1998年当時のそれと大体同額です。この違いは、同時期に日本経済が概して停滞していたためだという見方も一部にはあるかもしれません。こうした主張にも一定の正当性があることに疑いはありませんが、問題は日本の防衛費の対GDP比が着実に低下しているということです。今年度は、この数字が1%未満の0.89%になります。これは、どの北大西洋条約機構(NATO)加盟国、あるいは経済協力開発機構(OECD)に加盟しているどの先進国よりも低い数字です。実際、日本の防衛費の対GDP比はスイスよりも低くなります。
しかし、日本国民は、この地域の敵や仮想敵からの軍事的脅威に対する懸念を深めているときでも、自国の安全について心配する必要はありません。なぜなら、これらの敵国には、日本を攻撃すれば米国が持てる限りの軍事力を行使して反撃に出てくるということが分かっているからです。こうした状況を踏まえれば、在日米軍駐留経費負担特別協定などの取り決めに一部の日本の政治家が強く反対するのはどうしてなのかと、米国民が疑問に思うことは驚くべきことではありません。
私たちは、日本がこの10年間に軍事力を増強してきた米国と同盟関係を結んでいることから恩恵を受けていると考えています。また私たちは、日本が自国の安全保障への寄与を減らすのではなく増やすために、自国の防衛費を増大させることの利益を検討すべきと考えております。
しかしながら、日米両国の防衛予算の規模にかかわらず、私たちは皆、両国が購入する兵器の調達でもっと良い仕事をすることができます。防衛費が、国民の安全を高める手段としてではなく、公共事業と同列の扱いを受けることがあまりにも多くなっています。米国は「400ドルの金槌」や「600ドルの便座」の問題を経験しているので、わが国も納税者の評価を得る完璧なお手本とはなってはいません。しかし、米国は過去数年間に、無駄を減らし国防能力を向上させる多くの改革を行いました。防衛調達手続きの改革は、米国の目標や日本の目標だけではありません。このことは昔からある簡単な常識にすぎません。これができれば、私たちは皆、勝者となります。では、私たちは何をする必要があるのでしょうか。私の考えでは、日米両国は戦略策定、分析、能力の最大化、製造、そして配備を連携して行う必要があります。世界の2大経済大国が同一の視点から問題に取り組めば、非常に大きな規模の経済を達成することができます。どういうことか説明します。
米国と日本には共通の信念があります。すなわち、民主主義が機能するということ、寛容が肝要であること、言論の自由が重要であること、自由な市場が期待通りの働きをするということ、です。日米両国はまた、アジアと世界で共通の利害を持っています。すなわち、海上交通路(シーレーン)を守り、法の支配を促進し、そして貿易の恩恵を拡大する必要がある、ということです。その場合、日米両国が自国民の安全を守るためには、それぞれの防衛態勢で何が足りないのかを十分議論することが当然ではないでしょうか。今後10年、20年、さらには30年先を展望した場合、日米の利害が大きくかけ離れたものになっていると、どちらかの国が考えているでしょうか。私自身は、その答えは「ノー」だと思っています。もしそうであれば、日米両国は協力して問題に取り組んでいくべきではないでしょうか。
一例を挙げますと、日本は次世代戦闘機の調達を検討しています。日本が米国の支援なしで戦争状態になるということは、想像し難いことです。そうであれば、日米両国が協力し、それぞれが保有する航空戦力にできる限り補完性を持たせることは当然ではないでしょうか。日本の新型戦闘機は、日米それぞれにとって戦力増強をもたらすものであるべきです。だからこそ、この戦闘機を別々にではなく、一緒に調達するための能力と戦略を検討することが両国にとって非常に重要だと思います。日本の決定は米国に影響を及ぼしますし、米国の決定も日本に影響を及ぼします。
日米両国は、それぞれの航空戦力にとって何が必要かを一緒に検討する必要があります。侵略の意図を持つ者が、完全な相互運用性を持つ日本の自衛隊と米軍のことを時間をかけて考えなければならない状況にある場合には、日本はより大きな防衛力を持つことになります。こうした状況では、F-22のような航空機を操縦するパイロットが日本人か米国人かは、彼らが戦力の構成要素の一部であり、最新鋭戦闘機のF-35やF-18を操縦する両国のパイロットにより補完されるものである限り、大した違いではありません。究極的には、共通戦力をこのように組み合わせることは、機体に描かれた国旗より重要となります。
こうした成果を得るため、日米両国は定期的に戦略対話を行って共通の目標を決めなければなりません。そこから日米両国はそれぞれの兵力を分析し、生産性を最大限に高める一方で最大限に節約もしなければなりません。同じ場所に行くために別々の道を進むことは、誰のためにもなりません。創造性と革新は協調と共同作業の副産物です。
何をする必要があり、それを誰がするのか、が分かれば、あとはそれを製造するために協力すればいいだけです。つまり、すべての兵器のすべての部品が自国製である必要はない、ということです。ひとつの好例として、統合攻撃戦闘機「ジョイント・ストライク・ファイター」の製造のために米国が採用している構想があります。多様な能力を持つ航空機を製造するために、複数の国の複数の企業が力を合わせています。世界各国の防衛関連企業が、特定の国に売却される航空機だけではなく、製造される航空機の最初の1機から最後の1機まで関わることができるということです。
日米両国は戦略策定、分析、能力の最大化、そして製造を共同で行ってきたのですから、配備も共同で行うべきです。相互補完性のあるシステムは、戦力を増強させるシステムであり、財政破たんを招くものではありません。先ごろの米軍再編に関する日米合意は、両国の協力を拡大する上で大いに役立ちます。私たちは、これをさらに拡大して行くべきです。日米の共同運用性が高まれば高まるほど、両国の状況は良くなるでしょう。
これは日米双方の政府に言えることですが、防衛支出を利益誘導型政治の究極的な「利権」と見てはいけません。政治のために戦略を犠牲にするなどということはあってはならないのです。私たちが防衛の分野で行っていることの結果は、国民の安全にとってあまりにも重要なので、失敗することはできません。同時に、最終的に開発する兵器の対価として、必要以上の金額を払うべきでもありません。無駄遣いした1ドルや1円はどれも、国民のためにより高い安全性が買えたはずの1ドルであり、1円です。
日米両国が前進する中、日米両政府とも調達慣行を改善していかなければなりません。契約企業を選定する際、透明性の向上と競争力の強化を促進すべきです。公明正大で明瞭な制度があればこそ、国民は、納税者が苦労して稼いだお金が賢明に使われると信頼することができます。
複数年にまたがる契約を促進すべきです。政府は、より短期間で研究開発費を償却しなければならないという企業にとってのリスクを減らすことにより、自らのコストを削減できます。複数年の契約により、先の年まで購入することを政府が保証することによって財務リスクが軽減される契約企業に対して、当然なことながら、政府は価格の引き下げを求めることができるからです。
日米両国は、現在2国間協力の拡大を妨げている障害を少なくすることで、自国の防衛費を削減することができます。日本が機密資料や知的財産関連の情報を保護する能力を高めれば、米国はより多くのことができるようになります。日本も、米国企業ともっと多くの仕事をするために、ブラックボックス回避策を使う創造的な方法を取ることができるようになります。
その見返りに、日本はミサイル防衛で行ったように、防衛関連製品の対米輸出禁止を緩和することができます。これにより、日本企業は、現在、民生用市場で競争しているように、米国の防衛産業で競争する能力を大いに高めることになります。また、日米が採用している、防衛装備品調達契約の会計に関する法律や資金調達方法が、調達手続きにおいて企業に不利に働くのではなく、企業の参加を奨励するものになるようにするために、日米が協力することもできます。規制や調達の慣行が、顧客にとってのコストがかさむだけで利益のないものであれば、誰の利益にもなりません。契約企業に対し、契約の完了時ではなく節目ごとに支払いをすれば、日米両政府とも同じように利益を受けます。同様に、納期と予算を守った納品は、政府と契約企業の双方に財政面で利益をもたらします。こうした成果は相互排他的なものではありません。達成可能なものです。
日米両国は昨年の12月に、在日米軍駐留経費の日本側負担の包括的な見直しを行うことで合意しました。これは何を意味するのでしょうか。それは、日米両国が、あらゆる観点から、米軍の日本駐留経費負担の取り決めを見直す、ということです。また、日米両国は、米軍再編でも合意しました。この合意は、日米安全保障条約が1960年に署名されて以来、日米同盟を最も包括的に見直すものです。今や、この合意を実施していく必要があります。両国政府は、これまで数十年にわたり日米両国とアジアの平和と安全に寄与してきた両国の同盟関係を更新すると約束しています。今は、調達慣行を見直して、日米両国の国民と産業により大きく貢献できるものにする時であるとも言えるでしょう。
今、アジアは過渡期にあります。古い秩序は次第に消えていき、新しい秩序が現れてきています。しかし、今がアジアの紛争の時である必要はありません。日米両国は長年にわたり、世界のこの地域で平和を維持するために一生懸命努力を重ねてきました。相互の利益と関心を共有しているため、日米両国の努力はおおむね成功を収めています。日米同盟は、太平洋地域における両国の外交政策の要となってきました。この状況を変えてしまうほどの変化は、世界のどこでも起きていません。変わったのは、技術の水準と近代兵器のコストです。日米両国が協力して調達慣行の改革を行えば、両国それぞれの日米同盟への貢献を強化することになります。
日本は対等な同盟関係を望んでいます。米国もまた対等な同盟関係を望んでいます。これを達成するには、日米両国が提供する資源を最大限に利用しなければいけません。対等な同盟関係のために、日米両国が同額の費用を負担する必要はありません。しかし、無駄と重複が発生する場合には、それをなくすためにできる限りの措置を取るべきです。
今からおよそ50年前、太平洋の両側にいる何人かの非常に先見の明のある政治家は、日米が同盟関係を結べば、両国がそれぞれより安全になると認識していました。今、当時とは異なる世界秩序が出現しつつあります。しかし、日米同盟の戦略的な必要性に変わりはありません。日米同盟をあって当然のものと考えてはいけません。軽視してもいけません。大切にし、育み、積み重ねていかなければなりません。それは、日本と米国が同盟関係にあることが、今もなお太平洋地域の平和と安定のための最善策だからです。
質疑応答
問 シンガポール・ビジネスタイムズの記者です。大使は今、日米間の防衛費について、とりわけ航空宇宙分野でのより緊密な協力の必要性について、非常に強いメッセージを発信されました。こうした強いメッセージの発信は、米国が求めているような協力を日本から得ることができると、米国が必ずしも確信しているわけではない、ということを示しているようです。これは事実でしょうか。もしそうであるならば、なぜそうなのか、その理由を示してください。また、2番目の質問ですが、「アジアは過渡期にある。古い秩序は次第に消えつつあり、新しい秩序が出現しつつある」と大使は述べておられます。これは、もちろん事実です。こうした「新秩序」の一部として、いずれアジア防衛軍というものが出現することはありえないでしょうか。その場合、日本は、自国の防衛政策、つまり調達政策を、大使が提案されたように米国の政策と緊密に連携させることが本当にできるでしょうか。
シーファー大使 まず申し上げたいのは、私がこのようなお話をさせていただいたのは、米国が日本を信頼していないからではありません。米国は日本を深く信頼している、と思います。米国は1960年代から日本と同盟関係にあり、この同盟関係は両国にとってうまく機能しています。また、日米同盟はアジア・太平洋地域全体の安全と安定の基盤にもなっているため、時の経過とともに、日本に、この同盟を再活性化し、維持し、それが成長していくのを目にする準備ができてくるだろうと、私は確信しております。
私がここで言おうとしたのは、日米両国とも調達分野でもっと多くのことができるはずだ、ということです。そして日本には、防衛費の面でもっと多くのことをする機会があると思います。そして、日本の防衛費が現在の水準のままでは、将来的に日本が防衛面での自国のニーズを満たすことができるとは、私には考えにくいことです。
アジアにおける新秩序の出現に関して言えば、アジアは過渡期にある地域であると考えております。この地域について安全保障面で異なる力学が働いているという話を聞いたことがあるでしょう。日米同盟が時代遅れになりつつあるなどとは思っておりません。日米同盟は、今後も、世界のこの地域における日米両国の外交政策の基礎であり、日米同盟が強固であれば、アジアであらゆることが可能になると考えております。一方、仮に日米同盟が弱体化し、日本が米国への信頼をなくしたり、どのような状況でも日本を支持する米国の能力を信頼できなくなった場合には、そして日本が独自の道を行く決断をした場合には、アジアは急激に不安定になり、危険が高まると思います。ですから、私は日米同盟が弱体化するような事態にはならないだろうと思います。米国の視点から言えば、そんな状況になってほしくありませんし、日本国民もそうなることを望んでいるとは思いません。このため、日米両国は今後も協力し合い、年が経つにつれ両国の同盟関係はより強固になっていくと確信しています。
問 イタリアン・エコノミック・デイリーのステファノ・カレッツです。日本の次世代戦闘機について伺います。日本政府は、第1候補として、米国製のF-22戦闘機を採用したいと思っています。このこと自体は不思議ではありませんが、米国連邦議会はF-22の対日輸出を認めていません。そこで、大使の講演は、日本が最終的にユーロファイターなどの代替機種を選定した場合、米国が非常に失望したり、憤慨することさえあるだろうと警告しているのでしょうか。
シーファー大使 もちろん、「米国が憤慨する」などというつもりはありません。ただ、ユーロファイターの場合、米国製戦闘機と同等の相互運用性を持たせることは非常に難しいだろうと考えております。また、当然のことながら、私は駐日米国大使という立場にありますから、日本が米国製の航空機を購入することを期待していますが、これらの航空機に、既にこの戦域に配備された軍、つまり米軍との相互運用性を持たせるという考えを、日本は非常に積極的に検討すると思いますし、またそうしてほしいと考えています。私が言いたかったことは、F-22戦闘機の問題では、米国からF-22を買えないのは日本だけではないということです。連邦議会は、米国がF-22の外国への販売を禁止しています。そうは言うものの、F-22をこの戦域に配備できないということではありません。確かに、米国人が操縦して飛ばすことはできます。私が言いたかったことは、F-22が他の航空機と共同で行動するならば、その機体に描かれている旗が日の丸か星条旗かということは、大した違いではないということです。それに、どんな航空機であれ、1機だけでこの戦域のニーズをすべて満たすことはないでしょう。必要なのはさまざまな航空機の混成部隊であり、その混成部隊を構成する航空機には整合性を持たせるべきです。なぜならば、こうした整合性があれば、それぞれ単独で対応する場合よりも大きな能力を日米双方が得ることになるからです。
問 台湾のチャイナ・ポストの記者です。まず、今回の講演に時間を割いていただき、誠にありがとうございます。ご承知のように、台湾の馬英九新総統の就任式が今日行われますが、台湾と中国の関係はこの地域の安全にとって極めて重要です。そこで、台湾と中国の関係改善のために、米国と日本は何をするべきだとお考えでしょうか。
シーファー大使 これまで、日米両国政府は共に、中台間の問題は平和的に解決されるべきであると強調してきており、また、中国も台湾も相手に軍事行動を取らせるような挑発行為を取るべきではないと言ってきました。これは賢明な政策だと私は考えます。また、こうした政策は、中台双方による問題解決と近隣地域の平和維持に向け最大の希望を与えてくれます。軍事的手段による問題解決は誰のためにもなりません。
問 ドイツのフリーランス記者です。先ごろ、中国の胡錦濤主席が来日しました。大使もこの出来事に注目しておられたと思いますが、今回の中国国家主席の訪日をどう評価されますか。米国の立場から見て、満足のいくものだったのでしょうか。あるいは、何か警鐘を鳴らすようなものであり、「ちょっと待ってください。少し話し合う必要があります」と言わなければならないようなものだったのでしょうか。全体として、今回の中国国家主席の訪日に関する福田政権の対応をどのように見ておられるのでしょうか。
シーファー大使 米国は非常に前向きな1歩だと見ていると思います。中国と日本がその違いを解決し、協力することを約束できれば、関係諸国すべてのためにもなると、私は考えております。今回はこれが実現したと思います。中国国家主席の訪日は10年ぶりだと思います。それ自体が画期的な出来事でした。今回の訪日は成功だと思いました。協議の席に着いて、両国間に存在するかもしれない違いについて話し合おうという日中双方の努力を評価します。従って、警鐘は鳴らなかったと思います。聞こえてきたのは称賛の声です。正しい方向に1歩進んだからです。
問 フランスのRTL放送のジョエル・ルジャンと申します。今日はお越しいただき、ありがとうございます。大使が日本側に防衛費の増額を求めるのは、日本の対国内総生産(GDP)比1%という上限枠を超えて、ということでしょうか。日本の防衛費増額について、大使が期待される明確な数字をお聞かせください。これが最初の質問です。2番目の質問ですが、米ドルの下落傾向から何が予測できますか。今や、日本側に予算の増額を求めるのは、大使にとっての義務でしょうか。また、おそらくドルの下落ということもあり、日本側は米国側の要求に疑問を感じているようですが…。
シーファー大使 ドルの下落が何とおっしゃいましたか。
問 ドルの下落もまた、日本側が時に米国側に疑問を抱く理由のひとつではないか、ということです。なぜなら、ドルの下落が、米国経済はもはや世界経済の「羅針盤」ではない、ということも意味しているからです。つまり、米国のためにもっと多くのことするよう日本側に求めながら、米国は世界経済のためにこれ以上何もしないなど、どうしたらそんなことができるのでしょうか。
シーファー大使 日本のために米国はこれ以上何もしない、ということでしょうか。日本の防衛面でのニーズは、防衛予算を対GDP比1%未満、あるいは1%に制限していては満たすことができないと考えております。言うまでもなく、これは日本国民が決める問題だということです。しかし、話が新規のジェット戦闘機やイージス艦、あるいはミサイル防衛システムになると、これらの装備の費用を考えた場合、日本が今後もこの非公式な1%の上限枠を継続できると考えることはとても困難です。日本の防衛費は、対GDP比1%どころか減少しています。今年度は昨年度より少なくなっています。ですから、日本国民は対GDP比1%の問題について決断を下さなければならなくなるでしょうが、私が講演で言いたかったことは、この地域で多くの国々が防衛支出を大幅に増やしているけれども、日本はそうではない、ということです。経済的観点から見れば、日本は日米同盟での米国側の貢献によって得をしていると思います。米国は10年前に比べて国防費を増やしているため、その軍事能力は劇的に増強されています。これは日本にとっても役立っています。それは、米国が日本と同盟関係にあるからです。私は、日本がこの状況を検討して評価し、難しい選択をする必要があると米国側が示唆することが不当であるとは思いませんが、日本は今よりも防衛費を増やす必要があります。
そこで、ドルとその強さに関してですが、ドルはやがて強くなると私は見ています。ドルには異常な圧力がかかっていますが、これはやがて調整局面に入ると思います。しかし、私は、ここ数カ月間ドルが弱くなっているため、米国が日本にもっと何かをする必要がある、あるいは自制する必要がある、と言っているとは思いません。日本に必要なのは自国の防衛のためのシステムを調達することで、それには多大な費用がかかります。その際、日本は非常に難しい選択をいくつかしなければなりません。しかし、私の判断では、日本が調達慣行の改革を行わなければ、ドルが弱かろうと強かろうと、日本が、支払う円に見合うだけの価値を得ることは不可能です。こうした調達慣行は、ドル建ての価値がどれほどであっても、日本が支払う円に対してより高い価値を得ることができるようなやり方で改革することが可能です。
問 フリーランスのサム・ジェームソンです。日本の防衛予算が増えない理由のひとつは、防衛予算に計上するものを少なくしておいて、その分をどこかに隠しているからだという疑いがあります。例えば、リチャード・サミュエルスはその著書の中で、海上保安庁の予算が日本の防衛予算の一部ではないこと、そしてその予算が増えていることを指摘しています。私自身も以前から気がついていたことですが、北朝鮮の上空を周回する偵察衛星は気象衛星と呼ばれており、予算は首相官邸から出ているということです。このようなお金の隠匿や透明性の低さには、エンロン式の不正会計が関係しているのでしょうか。
シーファー大使 今ここで議論しているのは、「お金の隠匿」などということではないと思います。議論しているのは、従来から日本が防衛にどれほど費やしてきたかです。今あなたが提起された問題のすべてについて詳しく承知しているわけではありません。しかし、結論を言えば、日本の防衛費は近年、減少傾向にあるということです。また、私にはよく分かりませんが、ここ4~5年のことでしょうか、日本人の賃金は実際にカットされています。ですから、仮に日本がお金を隠しているのであれば、人々はその隠し場所がどこなのかを知りたいと思うでしょうし、探しにいくのではないかと思います。
問 東洋経済の飯沼良祐と申します。普天間移設問題についてお伺いします。この問題は長年にわたり協議されてきておりますが、これには予算ばらまき型の公共事業のような側面があります。加えて、横須賀や嘉手納と比べて、海兵隊を沖縄に維持しておく戦略的な必然性は切実ではないのではないかという議論が、米国人の専門家の間にさえあることを承知しております。ですから、普天間に使うお金を別の目的、例えば別の防衛協力に使えば、最も有効ではないかと思います。そこで、大使は普天間移設について、今後再考の可能性や別の考え方が出てくる可能性があるとお考えでしょうか。
シーファー大使 それはありません。普天間で何ができるかということについては、非常に慎重に検討しました。これは、ある質問に答えるためです。その質問とは、大統領就任1年目のブッシュ大統領に、就任後間もない小泉元首相が問いかけたもので、この戦域の米軍の軍事能力を低下させることなく、沖縄の海兵隊の数を削減する方法があるか、というものです。米国側としては、この質問を重く受け止め、非常に熱心に検討いたしました。その結果、米国は、沖縄駐留の海兵隊員の数の削減が可能と思われる公式を考え出したのです。それは、海兵隊員8000人とその家族9000人をグアムに移転させる、というものです。これは兵力面では大きな変化ですが、これらの海兵隊員をグアムに駐留させることで、彼らをこの戦域に維持することになります。現在、沖縄に駐留している海兵隊員の数は、米国がこの能力を保有するために世界のこの地域で維持できる最小限の数であり、その削減は、日本の防衛のみならず、この地域の防衛にとっても、米国の対応能力を非常に制限することになります。これが、普天間移設の日米合意の見直しを米国側が望まない理由です。私たちがしなければならないことは、合意案を実施に移すことです。米国は喜んで海兵隊を移転させますし、グアムの施設が完成次第すぐに移転させます。グアムの施設が完成し、普天間の代替施設も完成すれば、普天間の閉鎖が可能になり、日米関係の障害となっていたものを低減することができます。しかしながら、こうした移転が完了するまでは、これは可能にはなりません。そして、日米が合意した普天間移設計画の実施に時間がかかればかかるほど、海兵隊の移転にも時間がかかります。そこで議論をし、非常に集中的な交渉を重ねてきました。今必要なのはそれを実施することです。
問 パン・オリエント・ニュースの記者です。大使が講演で述べられたこと、つまり米国の戦力の優越性に対抗できる仮想敵はこの地球上に存在しない、という言葉を非常に心強く感じます。しかし、基本的に道路沿いに仕掛けられた爆弾や自爆テロによって形勢が決まるイラクやアフガニスタンでは、そうとも言えないようなところがあるようです。この点はどうお考えでしょうか。問題は何だとお考えでしょうか。「核の偽善」に不満を持つ国の核開発を止めさせるために、こうした兵器への支出を減らして、その分のお金を米国内や世界中の社会および経済状況のために使う方が少しは賢明だと思いますか。
シーファー大使 非常に良い質問です。講演で言いたかったことは、通常の軍隊の場合には、この地球上に米国と対抗できるような軍隊は存在しないということです。これはイラクでご覧の通りです。つまり、イラク軍は米陸軍に太刀打ちできなかったということです。そういう意味では、米軍に匹敵する力を持つ軍隊は世界のどこにもないと思います。しかし、今、イラクで起きているのは暴動で、非対称的な戦いです。通常の軍隊は関係しないため、戦いがずっと難しくなっています。そこで、これまでよりも有効に対処する方策を練る必要があると思います。ゲーツ国防長官も1週間ほど前の講演で指摘しましたが、米国はより有効な戦略を立てる必要があり、簡易爆発物(IED)などに対してより効果的な兵器を開発するため、通常の戦闘で用いられる兵器システムの開発を見送らなければならないかもしれません。長官は講演で「兵員輸送車両」について述べております。これは、基本的には、米国がイラク戦争後に開発したものであり、巡回中の兵士などを防護するものです。この車両は、米国がイラクでの作戦行動を遂行する能力の面で、非常に大きな効果を上げていますが、これが開発される前は多くの兵士が犠牲になっております。ですから、この点では、私たちはもっとうまくやらなければなりません。
軍事費について言えば、米国も軍事費を減らせるものなら、と思います。それで多くのことができるのなら、とも思います。しかし、残念ながら、米国人は米国人であるがゆえに世界の中で危険にさらされています。米国が現在持っている技術と軍事の両面での優位性を失ってもかまわないと考える米国人はいないと思います。米国はこの負担を長期にわたって担っていかなければならないと思います。それは、米国のためだけではなく、国際秩序のためでもあります。ここ日本に関して言えば、米国がこの戦域で決定的な役割を果たす力を失うことは、世界の中のこの地域の平和と安全を保つ力関係全体を一変させてしまうだろうと言えます。それでよい方向に向かうとは思っておりません。
問 共同通信の小林と申します。宇宙の利用を非軍事目的に制限する規制を緩和あるいは撤廃する日本の新しい法律について、大使のご意見をお聞かせください。大使ご自身がどのようにお考えなのか、また米国側では今回の日本の法制度の変更が日米同盟の均衡にどのような影響を及ぼすと見ているのか、について伺いたいのですが。
シーファー大使 それがどういう状況変化をもたらすことになるのかということについては、具体的な考えを持ち合わせておりません。しかし、この法律は、今の現実を認識しているものだと思います。ミサイル防衛やそれに伴うすべての状況を考えると、敵がどこから攻撃を仕掛けようと、敵を攻撃する能力を備えていなければなりません。新法はこの点を認識していると考えております。
問 フリーランス記者のアンドルー・ホーバットです。大使の発言は今も続いている日本の防衛費をめぐる不祥事に触発されたものではないかと思われますが、私の質問は、守屋(武昌・前防衛事務次官)氏が受けた業者らによるゴルフ接待の金額がもっと少なかったら、そして、調達政策を改善してより透明性の高いものにすることによりこうした汚職の影響が相殺されたならば、日本に何ができたかについて、米国側が内部で検討したことがあるか、ということです。
シーファー大使 そのような検討は行っておりません。しかし、全体を通して私が言いたかったことは、調達手続きを改革する必要がある、という点です。米国政府も調達手続きを改革する必要がありますし、日本政府もそうする必要があると思います。そして、防衛費を、究極の政治的公共事業と見ることをやめる必要があります。防衛費はそのようなものではありません。国民の安全を提供するものであり、ここで申し上げたように、実行に移せば、日米双方の納税者にとってさらに価値が高まると思われる方法があります。
問 テレビ朝日の鈴木悟です。6者協議について伺います。先ごろ、北朝鮮は1万8000ページに及ぶ書類を用意しました。基本的には、これは寧辺の核施設でのプルトニウム製造活動の記録です。日米双方にとって、来年の1月に米国の政権が交代する前に朝鮮半島の非核化について最終合意し、大使が日本を離任れる前に北朝鮮のテロ支援国家指定解除することが可能だと、大使は現在もまだお考えでしょうか。特に、北朝鮮が「完全かつ正確な核関連活動および計画の申告」を提出したことを認定するよう政権に求める下院の法案について、大使は支持されていますか。現政権は支持しないと聞いております。その理由をお聞かせ下さい。
シーファー大使 今のご質問は、(朝鮮半島非核化の)合意の可能性はあるのかということで、それからもうひとつ何かありましたが、その2番目の質問は何についてでしたでしょうか。任期が終了する前の合意と、もうひとつは何だったでしょうか。
問 米国の現政権のことについてです。朝鮮半島の非核化に関する最終合意、つまり北朝鮮のテロ支援国家指定解除が、大使の離任前にあり得るとお考えでしょうか。
シーファー大使 はい。可能だと思います。北朝鮮国内のプルトニウム製造の記録とされる1万8000ページの書類が北朝鮮側から提出されていると思います。これは前向きな進展のひとつと呼ぶべきです。現在はこの提出された資料の評価作業をしている段階で、その信頼性を調べております。あとどのくらいの情報が必要か、あるいはこれでもう十分なのか、という質問に正しい答えを出すのは、この評価作業が終了するまで待つしかないと思います。合意は可能ですが、最終的には米国が朝鮮半島に核兵器が存在しないと保証しなければならないため、この合意は最終的に「北朝鮮は核計画だけでなく保有する兵器も放棄した」という内容のものでなければなりません。ここが重要な点です。北朝鮮側にそうする用意があるのなら、これまで米国側が主張してきたことが好結果を生むはずです。そして、リビアのように、北朝鮮は信用を得て国際社会に仲間入りをすることができるでしょうし、またそうあって欲しいと願っています。しかし、そうなるかどうか、またそれがいつなのかは、北朝鮮次第だということです。
問 下院の法案についてはいかがでしょうか。
シーファー大使 下院の法案でしたね。可決するかどうか、それは下院が決める問題だと考えております。
問 産経新聞の田北真樹子です。鈴木氏の質問に関連しますが、北朝鮮による日本人の拉致問題についてお伺いします。大使は、北朝鮮のテロ支援国家指定解除の是非に関して、消極的な態度を取っている方々のうちの1人だと思いますが、最近の動きを見ておりますと、ヒル国務次官補の望む方向に進みつつあるように見えます。これについてはどのようにお考えでしょうか。
シーファー大使 クリス・ヒル次官補も私自身も、そして米国政府も、拉致問題の進展のためにあらゆる努力をしなければならないと思っております。私たちの誰もがこのことを理解していると思います。ヒル次官補は、北朝鮮関係者と会うたびに、この問題が6者協議にとって極めて重要だと、北朝鮮側に伝えております。そして、私たちの誰もが、この問題の進展となるような行動を北朝鮮側が取るという期待を持ち続けていると思います。これは確か、2年か3年前の「9月合意」の内容に含まれているはずであり、引き続きこのプロセス全体の一部となっています。北朝鮮が国際秩序の中に戻りたいと望み、そして米国だけでなく日本や世界各国と正常な関係を持てるような方法でそうしたいと望むのであれば、北朝鮮は拉致問題に取り組まなければなりません。ある国が他国の国民を拉致し、その行為が許されると考えることは容認できません。そのような行為は許されません。北朝鮮側はこの問題に取り組む必要があります。米国政府はこれまでもこの点について繰り返し主張してきており、北朝鮮側が交渉の過程で、この問題に取り組む必要があると理解するよう望んでおります。
問 FCCJ準会員のロイ・ロックハイマーです。大使の講演をとても興味深く拝聴しました。すばらしい内容だったと思います。そして…。
シーファー大使 ありがとう。あなたは立派な米国人です。
問 これは、以前に何度か発表したことのある私の持論ですが、日米安保条約体制について一般国民が利用できる事務局を設置してはどうでしょう。この点について、大使のご意見をお聞かせ願います。現在は、事務局を一般国民が利用することはできません。私は、北大西洋条約機構(NATO)体制で行われたようなことを考えています。例えば、イタリア政府が数年前に、NATO研究の場としてNATO直轄の大学を設立しました。日米両国の一般国民がお互いに意見を交換する場を新たに設け、外国人講師を招いて「日米同盟大学」のようなものをつくるのです。そして、沖縄を含む日本全国と全米に分校を置きます。そうすれば、一般国民がより積極的に関与するようになるでしょう。この考えについて、大使はどう思われますか。
シーファー大使 人々が戦略的な面から日米の同盟関係に目を向け、この同盟が日米間の「ショーウインドーの飾りつけ」のようなものであるだけではなく、本当に日米それぞれの安全保障のためにもなる、と認識するように促すほどに、日米両国の状況は良くなると思います。では、具体的にどんな形にするのかということですが、それは私には分かりません。しかし、日米両国の大学や研究機関での研究などは、すべて非常に前向きなことだと思います。米国側であれ、日本側であれ、それぞれの国の安全保障にとってこの同盟が不可欠であることを強調し過ぎることはないと思います。皆さんが日本に住んで時々感じるのではないかと思うことがひとつあります。それは、どうも日本人は、米国人の目には日米同盟が不透明に映っていると思っているのではないか、ということです。私自身はそうは思いません。米国人は、同盟国である日本が、アジア地域のみならず世界においても、安全保障面で大きな役割を果たしているとの認識を持っていると思います。また、私は、米国民が日米同盟にとても好意的だとも思っております。米国民が日米同盟関係について知れば知るほど、もっと研究すればするほど、より良い形で両国の同盟関係を維持できるようになると、私は考えています。ですから、これについて私たちができることは何であれ、前向きなことだと思います。
問 香港のイージス・センティネルのトッド・クロウェルです。私の質問は、8000人の海兵隊員をある場所から別の場所へ移すのに100億ドルもの費用がかかるのはどうしてなのか、ということです。議論を求めてこの質問をしているのではありません。当惑しているだけです。
シーファー大使 良い質問です。これは、単に8000人の海兵隊員を移転するだけの話ではありません。兵舎から埠頭、保管設備、弾薬庫、そして海兵隊と一緒に移転させる非常に高価な兵器システムを維持・拡充するための施設に至るまで、海兵隊の移転に伴ってさまざまなものを移動する必要があります。バックパックを背負った海兵隊員をボートに乗せて運べば済むという問題ではありません。費用がかかることに理由はありません。運ぶものが多いため、費用が非常にかさみます。さて、もっと安く済ませられないのか、とは思わないのか、という質問ですが、私もそう思います。安く済ませられるよう取り組まなければならないと思います。費用が高いからといって、特別に安全が保障されるわけではありません。そして、まさにそれが、私がここでお話したかったことです。お金の使い方を検討する必要があります。そして、米国には、「安酒場などで出すお金は、たとえ5セント硬貨でも、1枚1枚かんでからにしろ」という言い方があります。このようにすべきでしょう。私たちが努力すれば、必ずしも「値札」通りの費用がかかるわけではないからです。しかし、日米双方が調達改革を行わなければ、それだけ多額の費用、あるいはより多くの費用がかかることになります。日米両国の政府はこれまでに、日米の契約企業に対して、これが8000人を移転するのに私たちが行う用意がある内容だと伝え、この仕様に基づき、より安くより効率的に移転を行う方法を検討するよう、互いに要望してきました。


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